文献

ThruPLEX® DNA-Seq Kit

使用文献

ChIP-Seq

  • Genome-wide analysis of RNA Polymerase II termination at protein-coding. Baejen, C. et al. Genes. Mol. Cell (2017) 66, 1-12.
    この論文では、RNAポリメラーゼII(RNA Pol. II)による転写が酵母でどのように起こるのかを解明するため、ChIP-Seq、ChIP-qPCR、およびその他の機能ゲノミクス手法を用いています。ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて、ChIP-seqライブラリーを作製しました。著者らは出芽酵母における3'-転移にPol II伸長因子Spt5が必要であり、DNAからのポリメラーゼIIの遊離にRat1エキソヌクレアーゼが必要であることを示しました。
  • Transcriptional landscape of the human cell cycle. Liu, Y. et al. PNAS (2017) 114, 3473-78.
    この論文ではChIP-Seq、DNase-Seq、RNA-Seq、およびGRO-Seqを組み合わせて、細胞周期にわたる転写ランドスケープを調べています。ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて、ChIP-SeqおよびDNase-Seqのライブラリーを調製しています。著者らは、MCF-7乳癌細胞株をモデルとして使用し、転写と定常状態のRNA発現の間に時間差があることを細胞周期レベルで明らかにしています。また、細胞周期の進行における転写およびエピジェネティックな変動の重要性を報告しています。
  • Genome-wide identification of regulatory elements in Sertoli cells. Maatouk, D. M. et al. Development (2017) 144, 720-30.
    この研究では、性決定過程におけるマウスセルトリ細胞の調節因子を同定するため、ChIP-Seq、DNaseI-Seq、およびRNA-Seqを行いました。FACSで分取したマウスセルトリ細胞から、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いてChIP-Seqライブラリーを調製しています。DNaseI-SeqのピークとH3K27acのクロマチンランドスケープの間のオーバーラップにより、性決定の初期段階においてセルトリ細胞のみで活性を示すエンハンサーが同定されました。
  • Chromatin immunoprecipitation from fixed clinical tissues reveals tumor-specific enhancer profiles. Cejas, P. et al. Nat Med. (2016) 22, 685-691.
    この論文では、ヒストンマークの正確な検出を行うために、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルからの可溶性クロマチンの確実な抽出による固定化組織からのクロマチン免疫沈降シーケンス(fixed-tissue chromatin immunoprecipitation sequencing:FiT-Seq)と呼ばれる新しい方法を報告しています。ThruPLEX DNA-Seq Kitを使用して、FFPE標本からFiT-Seqライブラリー、新鮮凍結サンプルからChIP-Seqライブラリーを作製し、2種類のサンプル間でデータが互いに一致することを示しています。FiT-Seqを用いれば、腫瘍特異的エンハンサーおよびスーパーエンハンサーを明らかにし、既知の発癌性ドライバーとの相関を検討することにより、クロマチンの状態が遺伝子調節に及ぼす影響をさらに解明できることが示されました。
  • Sp7/Osterix is restricted to bone-forming vertebrates where it acts as a Dlx co-factor in osteoblast specification. Hojo, H. et al. Dev. Cell (2016) 37, 1-16.
    この論文ではChIP-SeqおよびRNA-Seqを用いて、マウスの骨形成における転写因子Sp7/Osterixの役割を解析しています。著者らは、Sp7の結合部位をChIPにより同定可能にするため、Sp7タンパク質のC末端にビオチンモチーフおよび3つのFLAGエピトープを付加したトランスジェニックマウス系統を作製しました。骨芽細胞のエンハンサーを同定するため、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いてChIP-Seqライブラリーを作製しました。著者らは、Spファミリーに属するSp7の出現は、脊椎動物の進化過程で骨形成を担う骨芽細胞が出現した際に重要な役割を果たした可能性が高いと結論付けました。
  • Genomic characterization of metformin hepatic response. Luizon, M. R. et al. PLOS Genet. (2016) 12, e1006449.
    この論文では、ChIP-SeqおよびRNA-Seqを用いて、メトホルミンに対する肝臓の反応に関与するヒト肝細胞内の遺伝子および調節エレメントを同定しています。ChIP-Seqライブラリーは、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて調製しました。この論文では、ヒト肝細胞におけるメトホルミン依存性反応のゲノムワイドな包括的知見が報告され、2型糖尿病の治療標的候補が同定されました。
  • PDX1 dynamically regulates pancreatic ductal adenocarcinoma initiation and maintenance. Roy, N. et al. Genes Dev. (2016) 30, 2669-83.
    この研究では、膵管腺癌(PDA)の各ステージにおけるPDX1の多様な機能を明らかにするため、ChIP-Seq、RNA-Seq、およびBrU-Seqを行っています。PDX1と免疫沈降したDNAから、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いてChIP-Seqライブラリーを調製しました。著者らは、PDAの各ステージでPDX1が異なる役割を果たすことを報告し、PDX1を標的候補とする治療アプローチでは、PDX1の機能が発癌の各ステージで変化することを考慮する必要性を示唆しています。
  • Loss of Pcgf5 affects global H2A monoubiquitination but not the function of hematopoietic stem and progenitor cells. Si, S. et al. PLOS One (2016) 11, e0154561.
    この論文では、ChIP-SeqおよびRNA-Seqを用いて、造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)におけるPolycombグループ(PcG)RINGフィンガータンパク質Pcgf5の役割を解析しています。ChIP-SeqのライブラリーはThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて調製しました。ChIP-Seq解析により、pcgf5欠損HSPCでH2AK119ub1レベルの低下が確認されましたが、遺伝子発現レベルとの有意な関連はみられませんでした。著者らは、Pcgf5がin vivoでヒストンH2AK119のモノユビキチン化を調節するが、造血における役割はわずかであると結論付けました。
  • PI3K/AKT signaling regulates H3K4 methylation in breast cancer. Spangle, J. M. et al. Cell Rep. (2016) 15, 1-13.
    この研究ではChIP-SeqおよびRNA-Seqを用いて、乳癌の非臨床モデルにおけるPI3K/AKT経路活性化の役割を調べました。H3K4me3およびKDM5Aの細胞内局在を測定するため、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いてChIP-Seqライブラリーを調製しました。著者らは、乳房悪性腫瘍のエピジェネティックランドスケープの調節におけるPI3K/AKTシグナル伝達経路の重要性、より具体的には、AKT/KDM5A複合体により調節される細胞周期遺伝子の発現が、進行期乳癌との関連を示すことを明らかにしました。
  • FOXA1, GATA3 and PPARγ cooperate to drive luminal subtype in bladder cancer: A molecular analysis of established human cell lines. Warrick, J. I. et al. Sci. Reps. (2016) 6, 38531.
    この研究では膀胱癌における分子サブタイプの研究に適する一連のヒト細胞株を同定するため、ChIP-SeqおよびRNA-Seqを用いています。ChIP-SeqライブラリーはThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて調製しました。この研究は、PPARγ、GATA3およびFOXA1の過剰発現が、膀胱癌細胞の侵襲性の高いbasal型から侵襲性の低いluminal型への分化転換に関与することを示しています。
  • Differential regulation of mouse and human nephron progenitors by the Six family of transcriptional regulators. O'Brien, L.L. et al. Development (2016) 143, 595-608.
    ChIP-SeqとRNA-Seqを用いて新生仔期のマウスおよびヒト腎臓前駆細胞における転写因子Six1とSix2の調節作用を比較しました。ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて、マウスおよびヒトChIP DNAからシーケンスライブラリーを作製しました。この研究は、ヒトおよびマウスのネフロン前駆細胞間での6個の因子の異なる調節の存在を実証し、ヒト腎臓前駆細胞の自己再生の延長期間と腎臓形成の機構的な関連性について報告しています。

CUT&RUN-Seq

  • Staged developmental mapping and X chromosome transcriptional dynamics during mouse spermatogenesis.
    Ernst, C. et al. Nat. Commun. (2019) 10, 1251.
    この研究では、CUT&RUN-Seqを用いて、X染色体のエピジェネティック制御を調べました。転写サイレンシング後のX染色体の不活性化と再活性化に注目して、減数分裂後の精子細胞におけるX染色体再活性化のエピジェネティック制御について報告しています。ThruPLEX DNA-Seq Kitのプロトコールにいくつかの改変を行い、シーケンスライブラリーを作製しました。
  • A high-content RNAi screen reveals multiple roles for long noncoding RNAs in cell division.
    Stojic, L. et al. bioRxiv (2019) 709030. doi: https://doi.org/10.1101/709030
    この研究の目的は、HeLa細胞の2,231個のlncRNAを欠如するRNAiハイコンテントスクリーニング法を使用して、細胞分裂におけるlncRNAの役割を発見および解明することです。CUT&RUN法を使用して転写因子だけではなく、活性化と抑制的なヒストン修飾のゲノムワイドプロファイリングを、選択したncRNAを用いて行いました。クロマチン上のlncRNA結合部位は、ターゲットRNAを用いたハイブリキャプチャー法とシーケンスを用いて同定されました(CHART-Seq)。この研究では、CUT&RUN-SeqおよびCHART-Seqのライブラリー作製にThruPLEX DNA-Seq Kitを使用しています。

cfDNA解析

  • Copy number variations in urine cell free DNA as biomarkers in advanced prostate cancer. Xia, Y. et al. Oncotarget (2016) 7, 35818-35831.
    著者らは進行性前立腺癌患者を対象として、アンドロゲン遮断療法開始前後に採取した尿中の腫瘍関連コピー数多型を同定するため、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いて作製したライブラリーを使用して尿中cfDNAの全ゲノムシーケンス解析を実施しました。log2 ratioに基づくコピー数解析では、前立腺癌で一般にみられる複数のゲノム異常が検出されるとともに、治療前と治療後の間で34の遺伝子座に有意なコピー数変化が検出されました。この研究では、治療効果の予測および癌進行のモニターにおいて、尿中cfDNAが臨床的に有用である可能性が明らかになりました。

マイクロバイオーム解析

  • Metagenome-assembled genomes uncover a global brackish microbiome. Hugerth, L. W. et al. Genome Biol. (2015) 16, 279.
    著者らは、バルト海から時系列的に回収したメタゲノムから多くの細菌プランクトンのゲノムを再構築しました。エーランド島(スウェーデン)の沖合10 kmに位置するLMOにて、水深2 mの水サンプルを、Ruttner式採水器を用いて、2012年3月から12月に37回採取しました。全サンプルは、採取日を文字と図(年月日形式)で識別し、3.0 μmおよび0.22 μm孔径のフィルターで連続ろ過しました。0.22 μm分画をDNA抽出に使用しました。DNA抽出、植物プランクトンのカウント、およびクロロフィルなどの栄養素の測定手順を報告しています。ThruPLEX DNA-Seq Kitを説明書に従って使用し、各サンプルからDNA(2~10 ng)を調製しました。精製には、MyOneカルボン酸コーティング超常磁性ビーズ(Invitrogen)を使用しました。最終ライブラリーを、SciLifeLab/NGI(ソールナ、スウェーデン)にてIllumina HiSeq 2500によるシーケンス解析を行いました。2×100 bpペアエンドによるリード数は平均で3,190万リードでした。
  • Antimicrobial resistance in selected environments in Norway: occurrence of antimicrobial resistant bacteria (ARB) and antimicrobial resistant genes (ARG) associated with wastewater treatment plants (WWTPs). Katrine, J. (2017). www.genok.no
    著者らは、ノルウェーの2地点の排水処理施設で、培養ベースの方法に分子的手法およびメタゲノム解析を組み合わせて、抗菌剤耐性菌および抗菌剤耐性遺伝子の存在状況を調査しました。著者らの目的は、環境中の抗菌剤耐性(AMR)とAMRの拡大(臨床現場から環境への拡大と、環境からヒトおよび動物の病原体への拡大)の間の関係の特定についての理解を深めることでした。サンプルは-20℃で直ちに凍結させ、DNA抽出まで凍結保存しました。DNAサンプルをOslo大学のNorwegian Sequencing Centre(NSC)に送り、ThruPLEX DNA-Seq Kitを用いたメタゲノムライブラリー調製と、Illumina MiSeq PE300プラットフォームを用いたシーケンス解析を行いました。
  • Potential for hydrogen-oxidizing chemolithoautotrophic and diazotrophic populations to initiate biofilm formation in oligotrophic, deep terrestrial subsurface waters. Wu, X. et al. Microbiome (2017) 5, 37.
    この研究では、フローセルを流入源、および光が生命活動に利用されている地表からの深さが異なる地下水(新しい海水または古い塩水)が存在する掘削孔に設置しました。著者らは、16S rRNA遺伝子のシーケンス解析を用いて、プランクトン集団および付着集団が採取場所により異なっていたこと、また、メタゲノムの遺伝子頻度から、2つの帯水層では、水素消費集団、二酸化炭素固定集団および窒素固定集団がバイオフィルム形成に関与すると推察されることを示しました。ガーネット粒から抽出されたDNAのメタゲノムライブラリーは、ThruPLEX DNA-Seq Kitおよび96種類デュアルインデックスを用いて調製しています。