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Q&A

pAUR135 DNA

Aureobasidin A耐性形質転換システム

Aureobasidin A(オーレオバシジンA)耐性酵母形質転換システム まとめページはこちら

Q1 Saccharomyces cerevisiaeの全ての菌株で、Aureobasidin A濃度0.5 μg/mlで形質転換体を選択できるか?
A1 用いる宿主株のAureobasidin Aに対する感受性によって、選択濃度は変わります。最少生育阻止濃度(MIC)が0.1~0.4 μg/mlの宿主株の場合は、0.5 μg/mlで選択できます。MICが0.05 μg/ml以下、あるいは0.5 μg/ml以上の宿主株の場合には、選択プレートのAureobasidin A濃度をMICの2~5倍に設定してください。

Q2 染色体組み込み型ベクターpAUR101を1ヵ所切断して形質転換するときに、どの制限酵素を用いるといいのか?
A2 AUR1-C遺伝子内を1ヵ所のみ切断する制限酵素のうち、BstP I 、EcoO65 I 、BsiW I 、Stu I の4種類のいずれかを使用してください。

Q3 pAUR123ベクターやpAUR224ベクターを用いたタンパク質の発現に、誘導操作は必要か?
A3 必要ありません。pAUR123のADH1プロモーターやpAUR224のCMVプロモーターは構成発現のプロモーターですので、オーレオバシジンA耐性の形質転換体をYPDやYEなど適当な培地で生育させると、構成的にタンパク質が発現します。

Q4 pAURベクターにサブクローニングできるDNAの大きさはどれくらい?
A4 弊社での実施例は約3 kbpまでですが、理論的には約7~8 kbp程度まで可能と思われます。

Q5 pAURベクターが使用できる酵母の種は?
A5 pAUR101S. cerevisiaeのほか、Candida glabrata, Kluyveromyces marxianus, K. lactisで使用できることを確認しています。これらの株にpAUR101をAUR1-C遺伝子や挿入遺伝子以外の箇所(例えばクローニングサイト)で切断し、linearにして導入すると、non-homologous recombinationにより染色体への組込が起こり、10~103/μg DNAの効率でオーレオバシジン A耐性となった形質転換体が得られました。pAUR112は、S. cerevisiae以外の酵母ではプラスミド状態で保持できませんが、linearにして用いれば、上記の株で染色体組込に使えます。また、pAUR123もlinearにしてC. glabrataの形質転換に用いたところ、染色体に組込まれた状態でタンパク発現がみられました。pAUR224は、Schizo. pombe用のベクターです。
一方、Pichia pastoris, Candida albicansなどでは、AbA耐性遺伝子マーカーが十分に機能しないため、pAURベクターは使用できません。

Q6 Aureobasidin Aの由来は?
A6 黒色酵母Aureobasidium pullulans R106が生産する抗真菌抗生物質です。

Q7 Aureobasidin Aの作用機序は?
A7 Aureobasidin Aは、酵母のスフィンゴリン脂質生合成系の酵素Inositolphosphoryl-ceramide(IPC) synthaseの活性を阻害します。また、選択マーカーとして用いているAUR1-C遺伝子は、IPC synthaseをコードしていると考えられるS. cerevisiaeaur1遺伝子に優性変異を導入し、Aureobasidin A耐性とした遺伝子です4)

Q8 プラスミドを保有していないSaccharomyces cerevisiaeがAureobasidin A耐性となる可能性は?
A8 Aureobasidin Aに対する自然耐性変異株は確認されていませんので、まず発生しないと思われます。

Q9 AUR1-C遺伝子を使って、S. cerevisiaeのone-step gene disruption法による遺伝子破壊は可能か?
A9 LEU2遺伝子内にAUR1-Cを挿入し、LEU2遺伝子が機能しない状態(LEU2領域はAUR1-Cの前後に 500 bpずつ)にしたDNA断片を用いて、S. cerevisiaeを形質転換し、LEU2遺伝子のone-step gene disruptionを行ったデータがあります。一倍体を形質転換した場合、Aureobasidin耐性形質を示すクローンの約1/25でLEU2遺伝子の破壊が起こっていました。残りの耐性クローンでは、宿主が本来有しているaur1遺伝子が選択マーカーAUR1-Cと置き換わっていました。しかし、二倍体株でone-step gene disruptionを行う場合には、目的とするクローンの割合はさらに低くなると考えられますので、色の変化など形質転換体の他の選択方法がない場合にはあまりお勧めできません。

Q10 GIN11M86とは、どんなDNAか?
A10 GIN11は、出芽酵母のテロメアARS 領域を含むDNA配列です。GIN11が高発現されると生育阻害を引き起こしますが、ARS活性は生育阻害活性とは、直接関係はありません。GIN11M86はGIN11に人為的に変異を導入し、ARS 活性を消失させたものです。

Q11 pAUR135は、出芽酵母ならどんな株にでも使えるか?
A11 GAL10プロモーターを用いた誘導発現を行いますので、ガラクトース資化性がない株では使えません。まず、宿主株のガラクトース資化性を確認してください。
[一倍体酵母の場合]
ガラクトース資化性の高い株では、使用法に示した方法により、マーカー除去されたクローンが非常にスムーズに得られます。いくぶん効率は落ちますが、ガラクトース資化性がやや弱い株でもマーカー除去株の選別は可能です。
[二倍体酵母の場合]
やはり、ガラクトース資化性が重要です。特に実用酵母の場合、ガラクトースプレート上のコロニー生育にバラツキの出る株が多く、それも影響することがあります。例えば、ガラクトース資化能の強い焼酎酵母協会2号の場合では、一倍体株とほぼ同様にガラクトースプレート上で生育阻害が起こり、マーカー除去が期待できますが、細かいバックグラウンドコロニーが出やすいので十分なシングルコロニーの分離が必要です。また、バラツキが非常に大きい協会台研396号では、ガラクトース資化性のよいコロニーでだけ、生育阻害およびマーカー除去が起こる傾向が見られますので、多めの形質転換体で検討することが必要です。一方、資化能の弱い清酒酵母協会7号などでは、生育阻害にいたらない弱い生育抑制が全体に現れる傾向がみられます。そのため、形質転換体をYPGalactoseの液体培地で1~3日振盪培養し、いったん宿主株との生育の差が確認された後、相同組換えによってマーカー除去株が生育を始めた時点でYPGalactoseプレートでコロニー分離すると、マーカー除去体を得やすくなります。

Q12 pAUR316は、A. nidulans以外のAspergillus属でも使用できるか?
A12 pAUR316に含まれるaurARおよびAMA1は、nidulans以外のAspergillus属(A. oryze, A. nigerなど)でも十分に働くと考えられます。ただ、nidulans以外のAspergillus属では、AbAに対する感受性のバラツキが大きい傾向があります。従って、AbAに対する感受性が低い株では、pAUR316を用いた形質転換体の選択は困難ですが、感受性が比較的高い株では、形質転換体の選択が可能です。例えば、A. niger ATCC 6275(IFO 6341)株の場合、AbAに対するMICは1~2 μg/mlであり、2.5~5 μg/ml濃度の選択プレートでpAUR316による形質転換体の選択ができます。

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