細胞・培地

PromoCell社 ヒト白色脂肪前駆細胞Q&A

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Q1 皮下脂肪細胞と内臓脂肪細胞の違いは?
A1 PromoCell社の白色脂肪前駆細胞は、皮下脂肪組織、または内臓脂肪組織から単離しています。皮下脂肪は皮膚の下に見られ、肥満関連の疾患には関係していません。皮下脂肪の蓄積は、過剰なエネルギー摂取に対する正常な生理的緩衝作用です。生体内で皮下脂肪の蓄積能力を超えた時や脂肪細胞の新生が阻害された時に内臓脂肪の蓄積が始まります。内臓脂肪は腹部や内臓(腎臓、心臓、膀胱など)周辺部に位置しており、高血圧、糖尿病、心血管疾患などと関連があります。皮下脂肪由来と内臓脂肪由来の脂肪細胞では、インスリンや他ホルモンに対する応答、脂肪分解活性など、いくつかの機能に違いがあります。実験の目的に応じて、細胞のタイプを選択してください。
Q2 ヒト白色脂肪前駆細胞(皮下脂肪)とヒト白色脂肪前駆細胞(内臓脂肪)の単離部位は?
A2 ヒト白色脂肪前駆細胞(皮下脂肪)は、腹部、上腕、大腿、顔など、異なる部位の皮下脂肪から単離しています。ヒト白色脂肪前駆細胞(内臓脂肪)は、主に腎臓、心膜、網(内臓を支える腹膜のひだ)周辺の脂肪から単離しています。各ロットについての単離部位はCoAに記載されています。
Q3 肥満BMI、喫煙歴なし、糖尿病歴なしのドナー由来の細胞(皮下脂肪細胞、内臓脂肪細胞)を入手することはできるか? また、異なる年齢層の細胞を入手することはできるか?
A3 PromoCell社が外科医から受け取るドナー情報は、年齢、性別、人種についての情報です。ほとんどの患者についてはBMI情報も入手できますが、喫煙歴についての情報はありません。皮下脂肪前駆細胞のドナーは、ほとんどが25~40歳の間で、BMIは様々です。もし、特定のドナー(年齢、BMIについて)由来の細胞を入手したい場合は、ご購入前にお問い合わせください。
Q4 白色脂肪前駆細胞の増殖、分化、培養のポイントは?
A4 PromoCell社の白色脂肪前駆細胞は、成人の様々な部位の皮下脂肪、または内臓脂肪組織から単離されています。製品は細胞を単離して1回継代培養した後(第二培養)に無血清の細胞保存培地(Cryo-SFM)中で凍結しています。各ロットは、無作為に抽出した2バイアルについて生育特性、形態観察、成熟脂肪細胞への分化試験などの品質検定を行っています。細胞融解後、または継代後の脂肪前駆細胞の推奨播種密度は、5,000 cells/cm2です。維持培養の場合は、細胞が90%コンフルエントになる前にトリプシン処理しなければなりません。倍加時間は通常20~50時間(10回の分裂を保証)です。細胞増殖には、Preadipocyte Growth Medium(製品コード C-27417)を使用します。脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を誘導するには、Preadipocyte Growth Mediumで100%コンフルエントになるまで培養した後、Preadipocyte Differentiation Medium(製品コード C-27437)で72時間培養し、更にAdipocyte Nutrition Medium(製品コード C-27439)で10~14日間、培養します。この間に細胞は顕微鏡下で観察可能な油滴を蓄積し始めます。高い分化率を得るためには、分裂回数4~5回未満で分化試験を実施することをお勧めします。
Q5 PromoCell社の白色脂肪前駆細胞の分化率は?
A5 P2(細胞融解時)で分化を誘導した時には、ほとんどのロットで80~90%を超える細胞が分化します。PromoCell社では4~5分裂を超えない(多くても融解後1継代)範囲内で分化試験を行うことをお勧めしています。細胞分裂を重ねることにより分化効率は減少します。
Q6 最適な分化のためには脂肪前駆細胞をどのように播いたらよいか?
A6 推奨プロトコール:
細胞を融解し、
  • 分化誘導の準備として、細胞の一部を直接マルチウェルプレートに播く(5,000 cells/cm2);Preadipocyte Growth Medium中で100%コンフルエントになるまで培養し、推奨プロトコールに従って分化誘導を行う。
  • 残りの細胞を細胞培養用ディッシュに播き(5,000 cells/cm2)Preadipocyte Growth Medium中で培養、継代する;必要な場合、細胞を2枚のディッシュに分け、1枚を分化テスト(上述)、残りは分化させずに培養を継続する。
(注)分化能は1~2回の継代で低下するため、分化テストは少ない継代数で実施する。継代数が多い細胞も、未分化の前駆脂肪細胞の研究(増殖試験など)に使用することができる。
Q7 Preadipocyte Differentiation Medium(製品コード C-27436)に含まれるシグリタゾンの効果は?
A7 シグリタゾンは合成PPAR-γリガンドで、転写因子PPAR-γを活性化します。PPAR-γは、脂肪細胞分化の刺激、インスリンの活性化、脂質代謝の調節において鍵となる役割を担っています。