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Protocols

pUC118/119 タイプベクター

pUC118/119による一本鎖DNAの調製

YT培地*
Bacto tryptone8 g
Yeast extract5 g
NaCl5 g/L、pH7.6
* YT agar plate(1.5% agar)
 YT soft agar(0.6% agar)

2×YT培地
Bacto tryptone16 g
Yeast extract10 g
NaCl5 g/L、pH7.6
PEG-NaCl溶液(20%ポリエチレングリコール、2.5 M NaCl)
TE-Buffer(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH8.0)
TE飽和フェノール
クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)
3 M酢酸ナトリウムpH6.0
氷冷エタノール
70%エタノール
1.ヘルパーファージM13KO7ファージ液の調製

操作手順

1)M13KO7ファージ液をYT培地で10ー6~8(102~4 pfu/ml)に希釈する。液体培養でうまく溶菌した溶菌液には109~10 pfu/mlのファージが、プレート培養では106~7 pfu/ plaqueのファージが存在する。
2)1)の希釈ファージ液100μl、E. coli MV1184培養液(>0.8 OD600)0.5 ml、あらかじめ溶かし、50℃にしておいたYT soft agar 3.5 mlを混合し、YT agar plateに重層する。
3)37℃で6時間以上培養し、プラークを形成させる。
4)シングルプラークを拾い3~100 mlの2 × YT培地(70μg/ml カナマイシンを含む)にて、37℃で12~20時間振とう培養する。
5)培養液を冷却遠心(8,000×g 10分間)して、菌体を取らないように注意して上清を取る。
6)5)の上清のタイターチェックをして、ファージ液として使用する。

高タイターファージ液調製のための注意点

4)の培養は、300 rpmのレシプロ振とうや200 rpm以上の回転振とう等、なるべく通気性のよい条件で行う。
●1010 pfu/ml以下の場合はPEG沈殿による濃縮を行い、高タイターファージ液を調製する。
【PEG沈殿によるファージの濃縮法】
(1)ファージ液に対して、1/4容積のPEG-NaCl溶液を加え、室温で10分間放置する。
(2)遠心分離(8,000 × g、5分間)して、上清を除く(ろ紙等でPEG-NaCl溶液を完全に除く)。
(3)適当量のYT培地に沈殿を溶かし、タイターチェックを行う。
なお、ファージ液は4℃保存で、1年間は安定である。
2.ファージタイターの測定法

操作手順

1)M13KO7ファージ液をYT培地で102~4 pfu/mlに希釈する。
2)1)の希釈ファージ液100 μl、E. coli MV1184培養液(>0.8 OD600)0.5 ml、あらかじめ溶かし50℃にしておいたYT soft agar 3.5 mlを混合し、YT agar plate(90 mmφ)に重層する。
3)室温で放置し、soft agarが完全に固まったのを確認したら37℃、一晩培養する。
4)プラークを数え、タイター(pfu/ml)を計算する。

注意

  • YT-agar plateはなるべく新しいものを使用する。plateが古いとプラークの形成が悪くなる場合がある。
  • 指示菌として使用するMV1184はF因子の脱落がないよう最小培地(M9グルコース培地)にて選別した菌を用いる。

    M9グルコース培地(寒天培地の場合はagarを1.5%加える)
    Na2HPO46 g/L
    KH2PO43 g/L
    NaCl0.5 g/L
    NH4Cl1 g/L
    thiamine*1 mg/L
    MgSO4*1 mM
    CaCl2*0.1 mM
    グルコース*0.2%
    * これらは別々にオートクレーブし、無菌的に混合する。
3.pUC118/119からの一本鎖DNAの調製

操作手順

1)目標となる遺伝子をpUC118(またはpUC119)にクローニングしたプラスミドを作製し、E. coli MV1184 Competent Cellsに形質転換し、適当量をYT plate(150μg/mlのアンピシリンを含む)に広げ、37℃でコロニーを形成させる。
2)MV1184(pUC118)を、2×YT培地(150 μg/ml アンピシリンを含む)で37℃、一晩前培養する。
3)2×YT培地(150μg/ml アンピシリンを含む)3 mlに、前培養液をOD600 = 0.02~0.05になるように接種し、37℃で培養する。
4)OD600= 0.1~0.2のとき、1.で調製したヘルパーファージをm.o.i = 2~10で感染させる。
(通常3 mlの培養液に対して1010 pfu/mlのファージ液を30μl加えれば充分である。)


5)37℃、10~30分間ゆっくり振とう後、70 μg/mlとなるようカナマイシンを加える。
※以上3)~5)のstepは以下のようにしてもよい。
(1)前培養液30μlに、ヘルパーファージ液(>1010 pfu/ml)30μlを加え、37℃で10~30分間静置する。
(2)37℃に温めておいた2×YT培地(150μg/mlアンピシリン、70 μg/mlカナマイシンを含む)を3 ml加える。
6)ヘルパーファージ液の調製と同様に、なるべく通気性のよい条件で37℃で14~18時間培養する。
※以下は、一本鎖DNAの調製方法と同じである。
7)培養液をマイクロチューブに移し、遠心分離(8,000×g、5分間)にて菌体を除き、上清を別のマイクロチューブにとる。
8)培養上清1 mlに対して200μlのPEG-NaCl溶液を加え、よく混合し、15分間室温におく。
9)遠心分離(8,000×g、5分間)し、上清を除く(ろ紙等で完全にPEG-NaCl 溶液を除く)。
10)沈殿を100μlのTE Bufferで完全に溶解させる。
11)TE飽和フェノールを50μl添加し、約10秒間振とうし、約10分間放置する。
12)クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を50 μl添加し、約10秒間振とうする。
13)5分間遠心後、水層(上層)を別のマイクロチューブに移す。
14)10μlの3 M酢酸ナトリウムを添加し、250μlの氷冷エタノールを加え混和後、-70℃で5分間(-20℃で20分間)放置する。
15)約5分間遠心し、沈殿を70%エタノールで洗う。
16)再遠心し、上清を除き減圧乾燥する。
17)TE Buffer 50 μlに沈殿を溶かし、-20℃に保存する。

注意

  • この方法で約2~5μgの一本鎖プラスミドDNAが得られるが、必要ならばアガロースゲル電気泳動でDNAをチェックする。クローン化したDNAフラグメントの大きさや性質によっては、収量が減ることもあるため、培養液量を増やすことが必要である。
  • 得られたDNAをアガロースゲル電気泳動してみると、一本鎖プラスミドDNA以外に、二本鎖プラスミドDNAの開環型と閉環型および宿主染色体DNAのバンドがみられることがある。しかし、これらのDNAの混入は、dideoxy法によるDNAシーケンスには、ほとんど影響を与えないので、そのまま使用できる。
  • 9)のステップの後、沈殿をTE Bufferではなく、100 mM Tris-HCl、10 mM MgCl 2 pH7.6緩衝液(100μg/ml DNase I、10μg/ml RNaseAを含む)100μlに溶解して、37℃で1時間程度静置後、25μlのPEG-NaCl溶液を加え、遠心分離して沈殿を回収してから、10)以下の操作を行えば、これらの混入DNA(およびわずかながら混入してくることがあるRNA)を除くことができ、きわめてきれいな一本鎖プラスミドDNAが得られる。
  • 13)のステップの後、12)~13)の操作を繰り返すとよりきれいな一本鎖DNAが得られるだけでなく、サンプル中のフェノールが取り除ける。したがって、UV分光光度計で定量を行う場合、より正確な定量ができる。
  • 挿入DNA断片によってはssDNAとして回収できないことがある。この現象は挿入DNA断片の二次構造とIG領域との距離に影響されると考えられているが、詳細な解析はなされていない。このような場合M13 mp18/19に組換えることによりうまくいく場合もある。
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