N-pyroglutamyl基のデブロッキング法

方法

タンパク質(100 pmol-1 nmol)*
  ↓
PVDF膜を洗浄する(下記実験例参照)
  ↓
PVDF膜のunbound protein-binding siteをブロックする(下記実験例参照)
  ↓
Pfu Pyroglutamate Aminopeptidase消化を行う
  ↓
プロテインシーケンサーにかける

* タンパク質試料が溶液状態であれば、酸処理、熱処理、還元アルキル化等の方法により変性させた後、PVDF膜にドットブロットする。

Pfu Pyroglutamate Aminopeptidaseの標準反応条件


緩衝液:10 mM DTT, 1 mM EDTAを含む50 mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0
反応温度:50℃
酵素/基質:2~5 mU酵素/1 nmol基質
反応時間:5~10時間

実験例

PVDF膜にブロットされたEgg white riboflavin binding protein(RBP)のN末端デブロッキング
RBPはN末端がピログルタミン酸であり、分子量34,000である。(Pfu Pyroglutamate Aminopeptidaseを用いて)PVDF膜にブロットされたこのタンパク質のN末端ピログルタミン酸を切断した。

実験条件

500 pmol/ PVDF膜
  ↓
PVDF膜をサンプルチューブに入れ、60%メタノール 1 ml×2回、90%メタノール 1 ml×1回、手で振とうして洗浄する。
(90%メタノールは入れたらすぐ液を除く。:あまり長くメタノール液に浸しておくとサンプルが流れ出てしまうので注意が必要。)

0.5%(w/v)のpolyvinylpyrrolidone(PVP)-55含有100 mM酢酸溶液に500μlに37℃で30分間浸す。
 ↓
膜を蒸留水で少なくとも10回以上撹拌洗浄する。
 ↓
膜をメタノールで湿らせる。
 ↓
酵素消化を行う。
 |Pfu Pyroglutamate Aminopeptidase(2 mU) 10 μl
 |100 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0) 100 μl
 |100 mM DTT 20 μl
 |蒸留水 70 μl
 ↓total 200 μl
50℃で5時間インキュベートする。
 ↓
膜を蒸留水で3回撹拌洗浄する。
 ↓
シーケンサーでアミノ酸配列分析を行う。

結果

以下の結果からN末端ピログルタミン酸の次のアミノ酸からの配列を[<Q]QYG(C)LEGDTHと同定できた。
(<Q:ピログルタミン酸)
サイクルアミノ酸 収量(pmol)
1Gln 39.7
2Tyr 42.1
3Gly 37.5
4(Cys) -
5Leu 36.7
6Glu 77.7
7Gly 32.9
8Asp 56.6
9Thr 8.6
10His 16.3