DNA Fragmentation Kit

ゲノムDNAの断片化~メチル化DNA解析例
(超音波処理vs.DNA Fragmentation Kit使用で結果を比較)

方法

  1. ゲノムDNAの抽出
    HeLa細胞より、NucleoSpin Tissue (製品コード 740952.10/.50/.250)を用いてゲノムDNAを抽出した。
  2. ゲノムDNAの断片化
    HeLaゲノムDNAの断片化を、超音波処理およびDNA Fragmentation Kit(製品コード 6137)を用いて行った。 DNA Fragmentation Kitによる断片化は、説明書の「V.操作方法 1.断片化」の方法に従った。標準プロトコールでは、Enzyme-1は500倍希釈、反応時間は5~8分を推奨しているが、今回、Enzyme-1は100倍希釈、反応時間は、5分、10分、15分で行った。 断片化処理を行った反応液を、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(製品コード 740609.10/.50/.250)のPCR clean-upの方法に従って精製し、断片化のサイズをアガロース電気泳動により確認した。(図1)
  3. EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kitによるメチル化DNAの濃縮
    超音波処理およびDNA Fragmentation Kit(10分反応)を用いて断片化したDNA各1 μgを用いて、EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kit(製品コード 631963)によるメチル化DNA濃縮を行った。 最終的に各40 μlの非結合画分(unbound)および結合画分(bound)の濃縮物を得た。
  4. EpiScope Promoter qPCR Array (Human)によるメチル化DNA解析
    メチル化DNA濃縮を行った非結合画分(unbound)および結合画分(bound)の濃縮物を、1反応あたり各1 μlをリアルタイムPCRの鋳型として使用し、EpiScope Promoter qPCR Array (Human)(製品コード 5301:終売)とTB Green Premix Ex Taq GC (Perfect Real Time)(製品コード RR071A)を用いてリアルタイムPCRを行った。(図2)

結果

超音波処理

M:100 bp DNA Ladder
S:超音波処理により断片化

DNA Fragmentation Kit

2% Agarose L03

M:100 bp DNA Ladder
1:Enzyme-1 5分 反応
2:        10分 反応
3:        15分 反応

図1 超音波処理およびDNA Fragmentation KitによるDNA断片化
超音波処理
DNA Fragmentation Kit
図2.EpiScope Promoter qPCR Array (Human)での解析結果

メチル化DNA濃縮前のゲノムDNA断片化は、超音波処理による物理的な切断方法を利用するのが望ましいがDNA fragmentation Kitを用いて断片化を行った場合でも、EpiScope Promoter qPCR Arrayによる解析でほぼ同等の結果が得られた。

注)DNA Fragmentation Kitを用いた断片化は、ゲノムDNAの種類や品質、また操作法により断片化効率が異なる場合があります。実際に使用するゲノムDNAで、目的サイズ(メチル化濃縮を行う場合は、約200~800 bp)に断片化するための条件検討を行っていただくことをお勧めします。Enzyme-1の希釈率は100~500倍程度、反応時間は5~10分の範囲で検討してください。

  DNA Fragmentation Kit