AAVpro® Purification Kit Maxi/Midi (All Serotypes)

AAVベクターを用いたマウス大脳皮質(視覚野)への遺伝子導入

方法

・AAVベクターの調製

GCaMP(カルシウムセンサータンパク質)遺伝子が挿入されたTet-Off SystemをAAV9ベクターに組み込み、リン酸カルシウム法でHEK293細胞に導入しウイルスを産生させた。15 cm dish 7枚分のHEK293細胞から調製したウイルスをAAVpro Purification Kit (All Serotypes)(製品コード 6666)を用いて精製した。最後の濃縮は、アミコン100 kD UFC810008を用いてDPBS(Dulbecco's Phosphate-Buffered Saline)に液を置換して約125 μlまで行い、ウイルスタイターはqPCR法で測定した。最終的に~1×1014 gc/mlの精製ウイルスが調製できた。

・AAVベクターのマウス大脳皮質(視覚野)へのインジェクション

精製ウイルスをマウス大脳皮質(視覚野)に約800 nlをインジェクションし、インジェクション領域の直上の頭蓋骨にガラスウィンドウを作成して、約1週間後に二光子顕微鏡でGCaMPの発現を観察した。

結果

1. AAVインジェクションより約1週間後のガラスウィンドウ越しに観察した明視野(左)と蛍光像(右)。GCaMPの緑色蛍光が広範囲に見られた。(スケールは共に1 mm)

2. 結果1のウィンドウの一部を二光子顕微鏡で観察したマウス大脳皮質深さ200~300 μm付近の蛍光画像。左が1回スキャンで、右が時間方向に600 framesスキャンしたもの(約5分)の平均化画像を表す。GCaMPが神経細胞の細胞体に局在しているのが分かる。(スケールは共に100 μm)

データご提供:東京大学大学院医学系研究科 統合生理学分野 上村 允人 先生

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