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SMART-Seq® v4 Ultra® Low Input RNA Kit for Sequencing

【ユーザー様実施例】SMART-Seq® v4 Ultra® Low Input RNA Kit for Sequencingとオックスフォード・ナノポアテクノロジーズ社MinIONを用いたcDNA-Seq

データご提供:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 生命システム観測分野 関先生

実験の目的
mRNAの全長配列の解析を行うために、全長cDNAの合成用のキットであるSMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit for SequencingとMinIONを用いてcDNA-Seqを行った。

実験方法
50 ngの肺腺癌細胞株H1975由来のtotal RNAから、SMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit for Sequencing (製品コード 634888、以降SMART-Seq v4とする)を用いて、cDNAの合成を行った。SMART-Seq v4に用いられているオリゴdTプライマー及び、PCRプライマーは5'末端がブロックされているため、ナノポアシーケンス用のアダプターのライゲーションに影響が出る。そのため、それらのプライマーをSmart-Seq2の配列のカスタムオリゴDNAで代用した。cDNA合成はSMART-Seq v4のプロトコールに従って行い、cDNA増幅のためのPCRは16サイクル行った。ナノポアシーケンスのライブラリー調製は、1.5 μgのcDNAと1D2 Sequencing Kit (オックスフォード・ナノポアテクノロジーズ社、SQK-LSK308)を用いて、1D2 sequencing of genomic DNA (with SQK-LSK308)のプロトコールを改変した方法により行った。元のプロトコールでは、長鎖のゲノムをターゲットとしているため、2回のライゲーションそれぞれの後のAgencourt AMPure XP精製を5:2 (サンプル:Agencourt AMPure XP)の比率で行うが、cDNAは短いため、1:1で行った。調製したライブラリーをFlow Cell R9.5 (オックスフォード・ナノポアテクノロジーズ社、FLO-MIN107)とMinIONでシーケンスした。

全長cDNAの電気泳動結果
全長cDNAの電気泳動結果
50 ngのtotal RNAからSMART-Seq v4を用いてcDNAを調製したところ、4 μg程度(80 ng/μl、50 μl)の全長cDNAを得ることができた。

シーケンス結果
 リード数平均長マップ数
1d reads2,580,0921,3891,900,971 (73.7%)
1dsq pass reads23,3901,85723,341 (99.8%)
1dsq fail reads233,1901,254- *
* 1dsq fail readについて、マッピングを行わなかった。

1D2シーケンスの結果、1d readは1 runで258万リード得られた。また、シーケンスクオリティの高い1dsq pass readも2万リード程度得られた。平均長は1~2 kb程度と長いリードが得られた。リードをminimap2でアラインメントを行ったところ、1d readは73.7%、1dsq pass readは99.8%がリファレンスゲノムにマップされた。

SMART-Seq v4で合成したcDNAのイルミナシーケンサーとMinIONでの発現定量の比較
発現定量の比較
SMART-Seq v4で調製した全長cDNAをNextera XT(イルミナ社)を用いてライブラリー調製し、イルミナ社次世代シーケンサーで解析した。イルミナ社次世代シーケンサーから得られた発現定量結果とMinIONの結果を比較したところ、R=0.93と非常に高い相関係数を示し、MinIONを用いた場合でも定量性の高いデータを取得できた。

マッピング結果の例(AKT1)
マッピング結果の例(AKT1)
AKT1は3種類のRefSeq transcriptが存在するが、四角(赤)で囲ったtranscriptが主に発現していることが確認でき、遺伝子の全長にわたってマップしていることが示された。

ヘテロSNPのハプロタイプフェージングの例
ヘテロSNPのハプロタイプフェージングの例
今回の実験に用いたH1975細胞は同一染色体上に、C→Tの変異とT→Gの変異が存在することが知られている。本実験では両方の変異を持ったリードが6本検出され、ヘテロに染色体上に存在する体細胞変異のフェージング解析が可能であることが示された。

まとめ
SMART-Seq v4とMinIONを組み合わせることにより、少量のtotal RNAからcDNA-Seqが行えることが確認できた。
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