造腫瘍性の評価・試験

デジタル軟寒天コロニー形成試験による悪性形質転換細胞の検出

【方法】

陽性対照:HeLa細胞、陰性対照:MRC-5細胞
  1. 96ウェルマイクロプレートにBottom-agar layer(0.6%アガロース含有培地,50 μl/well)を添加し、冷所で静置した。
  2. Bottom-agar layer上にSoft-agar layer(0.4%アガロース含有細胞懸濁液,75 μl/well)を添加し、冷所で静置した。
  3. Soft-agar layer上に培地(100 μl/well)を添加し,CO2インキュベーター(37℃,5% CO2)内で軟寒天培養を実施した。
  4. 約4週間後に培地を除去後,Hoechst(核染色)およびMitoTracker(ミトコンドリア染色)を含む染色液(25 μl/well)を添加し、CO2インキュベーターで1時間静置した(細胞染色)。
  5. 染色液を除去し、4%PFA溶液(125 μl/well)を添加し、室温で30分静置した(固定処理)。
  6. PFAを除去し、PBSで2回洗浄後、Buffer QG(50 μl/well)を添加し、CO2インキュベーター内で1時間以上静置し、軟寒天を溶解し、コロニーを沈降させた。
  7. イメージングシステム(Array Scan VTI)を用いてコロニーの解析を実施した。

【概略図】

概略図

【検出感度評価】

プレート2枚(計160 well)に1個のHeLa細胞を含む1,000万個のhMSCを軟寒天培地に播種し、C2ウェルで核染色画像、ミトコンドリア染色画像、明視野画像で同位置にコロニーを検出しました。

検出感度評価

【結果】

横にスクロールできます
 Batch No.平均確率分布
12345678
コロニーが1個検出されたwell数111110100.750.0047
コロニーが検出されなかったwell数159159159159159160159160159.30.9956
  • 検出感度:0.00001%
  • 1ウェルにおいてコロニーが未検出となる確率分布:0.9956
  • 1回の試行(160ウェルへの試料の分画)のすべてにおいてコロニーが検出されない確率(x):x=0.9956^160 = 0.4938
1%の確率で偽陰性があることを許容する場合、n=log (0.01)/log (0.4938) = 6.527という数値が得られる。 すなわち、ある被験物質中にHeLa相当の悪性形質転換細胞が1/10,000,000の割合で混入していないことを示すには、同様の操作を7回実施し、コロニーが未検出であることを確認できれば偽陰性を否定することができる。

出典 Kusakawa et al., Sci Rep. 2015
ヒト細胞加工製品の未分化多能性幹細胞・形質転換細胞検出試験、造腫瘍性試験及び遺伝的安定性評価に関する留意点(案)別添

  造腫瘍性の評価・試験