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SMARTer® ThruPLEX® Tag-seq Kit

ThruPLEX® Tag-seq Kitを使用したcell-free DNA中の低頻度変異解析

実験の背景
がん研究において、cell-free DNA中の低頻度変異を正確に検出することは非常に重要である。特に、次世代シーケンサー(NGS)を用いた解析では、ライブラリー調製中の増幅エラーやシーケンス時のエラーをサンプル自身の低頻度変異と区別することが困難な場合がある。ThruPLEX Tag-seq Kitは、分子バーコードを搭載したライブラリー調製キットである。分子バーコードを用いることで、偽陽性の変異コールを減らすことが可能となり、低頻度で存在する変異を正確に検出することができる。本実験ではライブラリー調製にThruPLEX Tag-seq Kitを使用し、ターゲット濃縮にIDT社のxGen Lockdown ProbesおよびxGen Predesigned Gene Capture Poolsの混合品とB社のカスタム濃縮キットを用いて評価した。

実験ワークフロー
サンプル
・ 0.1% Multiplex I cfDNA Reference Standard(Horizon社) 50 ng
・ 1% Multiplex I cfDNA Reference Standard(Horizon社) 50 ng
 ※ 0.1% or 1%のアレル頻度に調製された8種類の既知変異を含むDNA断片
NGS用ライブラリー調製
 ThruPLEX Tag-seq Kit
ターゲット濃縮
・ IDT社濃縮キット(bait size 160 kb)
・ B社濃縮キット(bait size 87 kb)
シーケンス
 HiSeq 2500 100 bp×2
情報解析
・ マッピング BWA-MEM
・ 独自開発パイプライン(分子バーコード解析、変異コール)

シーケンス結果
1% Multiplex I cfDNA Reference Standard
  トータルリード数 マッピング率
(%)
オンターゲット率
(%)
オンターゲット中の
ユニークリード数
平均カバレッジ エラー率(%)
ThruPLEX

B社濃縮キット
85,225,002 99.61 7.13 1,459,629 1,652 0.128
ThruPLEX

IDT社濃縮キット
80,206,918 99.87 43.78 3,349,740 1,993 0.125

IDT社濃縮キットはB社濃縮キットに比べ、オンターゲット率は6倍高く検出され、オンターゲット中のユニークリード数(トータルリード数×ユニークリード率×オンターゲット率)も2倍取得でき、平均カバレッジも高かった。


共通ターゲット遺伝子による平均カバレッジとエラー率
 平均カバレッジエラー率
(%)
ThruPLEX

B社濃縮キット
1,7380.107
ThruPLEX

IDT社濃縮キット
2,3440.114
共通ターゲット遺伝子:15種、bait size約30 kb

IDT社濃縮キットとB社濃縮キットにおける共通ターゲット遺伝子に関して平均カバレッジを比較したところ、IDT社濃縮キットの方がより高かった。


各カバレッジにおけるターゲット領域の塩基カバー率の比較(共通遺伝子対象)
塩基カバー率の比較

ThruPLEX+B社濃縮キットよりThruPLEX+IDT社濃縮キットの方が高カバレッジにおけるカバー率が高かった。よって、ThruPLEX+IDT社濃縮キットの方が低頻度の変異検出に適していることが示された。


シーケンスリード数と1,000X以上の塩基カバー率の比較(共通遺伝子対象)
シーケンスリード数

同じリード数を取得した場合、ThruPLEX+IDT社濃縮キットの方がCoverage depthが高いため、より少ないシーケンス量で解析できることが示された。


変異遺伝子検出結果
ターゲット濃縮キット ThruPLEX+IDT社濃縮キット ThruPLEX+B社濃縮キット
サンプル情報 1.0% Multiplex I cfDNA 0.1% Multiplex I cfDNA 1.0% Multiplex I cfDNA 0.1% Multiplex I cfDNA
マッピングソフト BWA-MEM
変異検出ソフト 独自開発パイプライン
Variant REF ALT AF REF ALT AF REF ALT AF REF ALT AF
EGFR (L858R) 2,192 20 0.91% 1,977 2 0.10% 1,499 18 1.20% 1,679 3 0.18%
EGFR (ΔE746-A750) 1,966 9 0.46% 1,869 0 0.00% 1,471 5 0.34% 1,536 3 0.20%
EGFR (T790M) 2,163 30 1.39% 2,160 3 0.14% 1,573 14 0.89% 1,524 0 0.00%
EGFR(V769-D770Ins) 1,997 9 0.45% 2092 0 0.00% 739 3 0.41% 739 0 0.00%
KRAS (G12D) 1,320 19 1.44% 1,179 2 0.17% 1,135 7 0.62% 1,099 1 0.09%
NRAS (Q61K) 4,093 40 0.98% 3,505 2 0.06% 1,826 15 0.82% 1,861 0 0.00%
NRAS (A59T) 4,158 42 1.01% 3,594 8 0.22% 1,835 30 1.63% 1,847 5 0.27%
PIK3CA (E545K) 1,309 15 1.15% 1112 1 0.09% 1,172 5 0.43% 987 2 0.20%
変異検出数(検出感度) 8 (100%) 6 (75%) 8 (100%) 5 (62.5%)
REF: 参照配列と同じ塩基を持つリード数
ALT: 変異配列と同じ塩基を持つリード数
AF: 変異頻度(全リード中のALTのリード比率として算出)

1% Multiplex cfDNAでは、IDT社、B社いずれも8種すべての既知の変異遺伝子を検出した。一方、0.1% cfDNAでは、IDT社で6種、B社で5種を検出した。分子バーコードを搭載したThruPLEX Tag-seq KitとIDT社の濃縮キットを用いることで、より低頻度の変異遺伝子を正確に検出できた。

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