ThruPLEX® DNA-Seq Kit

【ユーザー様実施例】ThruPLEX® を用いた血漿中セルフリーDNA(cfDNA)のシーケンス解析

データご提供:筑波大学 医学医療系 臨床検査/スポーツ医学研究室 研究員 菅澤威仁様


左奥から反時計回りに竹越一博教授、菅澤様、時野谷勝幸様(博士課程在学)、関根七海様(修士課程在学
研究室ホームページ: http://tsukuba-laboratorymedicine.com/
* 2019年1月現在

■実験の背景・目的

cfDNAは出生前診断や、腫瘍由来のゲノムDNAをモニタリングするためのマテリアルとして使用されているが、質・量的変化を網羅的に解析した報告は少ない。そこで本実験では健常者の血漿中のcfDNAが、ある実験処置の前と後で質・量的変化を引き起こすかどうか次世代シーケンサーにて網羅的に解析し確認することを目的とした。

■使用製品:ThruPLEX DNA-Seq Kit(製品コード R400674)

 

■実験フロー

EDTA採血管を用い、ヒト健常者の血液を実験処置前と後に採取し遠心分離で血漿を分離

2 mlの血漿からNucleoSnap cfDNA(製品コード 740300.10)を用いてcfDNAを抽出

10 ng~30 ngのcfDNAを用い、ThruPLEX DNA-Seq KitにてNGS用のサンプルを調製

アジレント・テクノロジー社バイオアナライザーで調製後の各サンプルのDNA濃度を測定

イルミナ社次世代シーケンサーNextSeq 500でシーケンス解析

得られたシーケンスデータのクオリティチェック後、 Bowtieにてマッピングしデータの可視化

■データ①:ThruPLEX DNA-Seq Kitで調製したサンプルの電気泳動パターン

処置前サンプル 処置後サンプル

ThruPLEX DNA-Seq Kitを使用して、抽出したcfDNAからNGS用サンプルを調製し、バイオアナライザーでサイズ分布と濃度を確認した。調製前のcfDNAは160 bp付近にピークが見られるが(データ非掲載)、サンプル調製後は300 bp付近にピークがみられ、アダプター配列がきちんと付加された事を確認した。

■データ②:NGSシーケンス後のデータのゲノム上へのマッピング結果

A:カバレッジ  B:マッピングされたリード
処置後のcfDNAにおいて、特定のゲノム上の位置に多くのリードがマッピングされ、カウント数に250倍の差がある位置も同定できた。すなわち血漿cfDNAは生体に加わるストレスにより、量的・質的変化を引き起こす事が示唆された。

■今後の計画

本キットを用い、ヒトや動物に対し様々な条件下で更なるcfDNAシーケンスを行い、cfDNAの生理的な生成メカニズムを追っていきたい。

■まだ本キットを使ったことがない方へ一言お願いします

本キットは説明書がとても分かりやすく、記載されている手順に従うだけで簡便にNGS用のサンプル調製が行えました。
私自身NGS用のサンプル調製は初めてでしたが、本キットのおかげで、1回で難なく成功させました。価格もお手頃ですし、DNAシーケンスの際は絶対にお勧めです。

  ThruPLEX® DNA-Seq Kit