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Cellartis® iPS Cell to Hepatocyte Differentiation System

【ユーザー様実施例】 先天性肝線維症モデルの開発と病態解明の研究

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 肝臓病態制御学講座 准教授 柿沼晴先生
Cellartis iPS Cell to Hepatocyte Differentiation System(製品コード Y30055)のユーザー様である東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 柿沼晴先生らによる先天性肝線維症モデル作製と病態解明の研究成果がJournal of Hepatologyに掲載されました。
【論文名】
Loss of Fibrocystin Promotes Interleukin-8-Dependent Proliferation and CTGF Production of Biliary Epithelium.
Tomoyuki Tsunoda et al.,(2019) Journal of Hepatology In Press
柿沼先生よりご研究の内容や本製品についてのご感想をいただきましたので、是非ご覧ください。
研究内容と結果
先天性肝線維症は、胎児期に始まる胆管形成の異常と進行性の肝線維化を生じる遺伝性の肝疾患です。しばしば小児期に肝移植を必要とする難治性の病気であり、新規治療法の開発にむけた病態の解明が必要でした。これまでは主に、この病気のマウスモデルを用いた研究がなされていましたが、マウスモデルと実際の患者さんの病態には隔たりが大きいことが問題でした。我々は、ヒトiPS細胞から、この病気を再現して解析することができる疾患モデルを作成し、胆管細胞が産生するIL-8が本疾患でみられる胆管の異常と進行性の肝線維化に重要な役割を果たすことを見いだしました。さらに、ヒトiPS疾患モデルで得た結果は、この難治性疾患の実際の患者さんでも認められていました。本研究では、ヒトiPS細胞を用いた疾患モデルを開発することで初めて、遺伝性難病の病態について詳細な分子機構を明らかにできました。

図1.ヒトiPS細胞から分化させた胆管細胞
ヒトiPS細胞をDEF-CS 500 Culture Systemで維持培養した後に、Cellartis iPS Cell to Hepatocyte Differentiation SystemによりHepatoblast stageまで分化誘導した。培養12日目に誘導した細胞からクローン化した肝前駆細胞(iPS-HPCs)のコロニーを形成させ、この細胞を3次元培養系にて、さらに10日間培養すると、一層の胆管様上皮から構成される、嚢状(Cyst)形態に分化した。
先天性肝線維症モデルの変異細胞では自律的にIL-8を分泌し、IL-8依存的に胆管細胞が増殖して、Cystの大きさと数が増大する。このような形質は、本疾患でみられる胎生期の胆管形成異常を模倣していると考えられる。
(Tsunoda et al., Journal of Hepatology, 2019より引用)
https://doi.org/10.1016/j.jhep.2019.02.024
インタビュー
質問1. Cellartis DEF-CS 500 Culture Systemを使ってみようと思ったきっかけは何ですか?
共同研究者の先生が使用されており、安定した培養が可能であると伺いました。我々の研究室でも、ちょうどフィーダーフリーの培養系を利用したいと考えておりましたので、使い始めました。
質問2. 実際に使ってみた感想はいかがでしたか?
フィーダーフリーの培養系として、比較的簡便であるとともに、ヒトiPS細胞を安定して培養することができました。この研究では、肝芽細胞まで分化させてからクローン化し、胆管細胞に分化させていますが、分化誘導の再現性は良いと思いました。肝細胞系譜に成熟化もさせましたが、従来の既報の方法よりも、再現性が安定していると思います。
質問3. まだ使われたことがない方に対して、一言お願いします。
ヒトiPS細胞の維持培養、肝細胞系譜への分化誘導の双方で、比較的ヒトiPS細胞の使用経験が浅い実験者であっても、培養と再現性が安定しているように思います。
- ご協力有難うございました -
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