Cellartis® DEF-CS™ 500 Culture System

【ユーザー様実施例】 ヒトiPS細胞の概日リズムに関する研究

熊本大学大学院生命科学研究部分子生理学講座  貝塚拓先生、金子瞳先生

Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)のユーザー様である
熊本大学大学院生命科学研究部分子生理学講座 貝塚先生らによる本製品を用いたヒトiPS細胞の概日リズムに関する研究成果がCellsに掲載されました。
【論文名】
Response to Stimulations Inducing Circadian Rhythm in Human Induced Pluripotent Stem Cells
Hitomi Kaneko, Taku Kaitsuka, Kazuhito Tomizawa. Cells (2020) 9, 620;
https://doi.org/10.3390/cells9030620


貝塚先生よりご研究の内容や本製品についてのご感想をいただきましたので、是非ご覧ください。

■研究内容と結果

本研究では、ヒトiPS細胞の概日リズム同調刺激に対する反応と、その結果観察された時計遺伝子発現の概日様リズムについて明らかにした。今日、iPS細胞は再生医療への応用に向けて分化誘導方法の開発など様々な研究が行われているが、外界からの刺激に対する応答性、特に同調刺激に対する反応や概日リズムの有無など明らかにされていない点がある。そこで概日リズム同調刺激に対する反応を時計遺伝子の発現を指標として調べたところ、従来のデキサメタゾンやフォルスコリンによる刺激では概日リズム性を示さなかったが、生体の体温リズムを模倣した33℃と37℃の日内変動リズムはDBP遺伝子の発現に概日様リズムを生じることが分かった。さらに興味深いことに、温度リズムにより低酸素応答遺伝子が変動すること、またHIF-1αの阻害によりDBPリズムが消失することを明らかにした。


図1. 体温リズムの模倣による時計遺伝子の応答
(A) 温度リズム下で5日間培養後のU2OS細胞およびヒトiPS細胞、マウス胚線維芽細胞(MEF)の時計遺伝子発現レベル。0~12時間が33℃、12~48時間が37℃の温度リズムで培養。ヒトiPS細胞でもDBPの発現に概日様リズムがみられる。(B) 温度リズムで培養後の多能性評価。温度リズムで培養しても多能性に変化はみられない。
(Kaneko et al., Cells (2020) より引用)
https://doi.org/10.3390/cells9030620

■インタビュー

質問1. Cellartis DEF-CS 500 Culture Systemを使ってみようと思ったきっかけは何ですか?
これまでは基礎培地と添加物を別々に購入して調整していたが、DEF-CSは添加因子とコーティング剤がセットになっており、扱いが簡便であったため。また、フィーダーフリーでiPS細胞の多能性を維持したまま培養できる点が優れていると感じたため。
質問2. 実際に使ってみた感想はいかがでしたか?
凍結状態から融解後の細胞の生育もよく、さらに未分化のまま安定してiPS細胞を維持培養でき、非常に有用だと感じた。
質問3. まだ使われたことがない方に対して、一言お願いします。
初心者でもiPS細胞の維持培養が容易にでき、またキット品で培地調製による影響も少ないことから、未分化を維持した状態での実験系から分化誘導実験と幅広く使用できます。
- ご協力有難うございました -

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