ヒトやマウスなど、参照配列が公開されている生物種について、ゲノム上の特定領域を濃縮、シーケンスすることで、その領域に絞り込んだ変異解析を行うことができます。濃縮は目的領域に相補的に設計された核酸プローブと、断片化されたゲノムDNAを相互作用させることで行います。解析対象を特定領域に絞り込むことで、少ないシーケンス量で十分なdepth(冗長度)を得ることができ、全ゲノムのリシーケンスと比較して低コストで解析を実施できます。特に、タンパク質のコーディング領域(エクソン領域)を網羅的にシーケンス・変異解析を行うエクソーム解析は、遺伝病等の疾患遺伝子の探索に有効で、現在盛んに研究が行われています。
ゲノムDNAを送付いただき、SureSelect Target Enrichment(アジレント・テクノロジー社)を用いてターゲット領域を濃縮し、主にHiSeqを用いて網羅的にシーケンスを行います。
自動化装置を用いたライブラリー作製も行っており、良好なシーケンスデータを短期間で大量にご提供できます。
取得した配列を参照配列にマッピングし、一塩基変異や短い挿入欠失部位の検出を行います。また、遺伝子位置が既知の生物種では、遺伝子との位置関係や変異による影響(アミノ酸置換など)についてアノテーションを付加することも可能です。
以下のような特定のゲノム領域に対して設計済みのキット(Exome、Kinome解析用など)による濃縮の他に、カスタム領域の濃縮についてもSureDesignを用いたプローブ位置の設計から承ることが可能です。その他のキットでの濃縮をご希望の場合もお問い合わせください。
・Human All Exon V6 Kit (約58 Mb)
・Human All Exon V6+UTRs Kit (約89 Mb)
・Human All Exon V5 Kit (約50 Mb)
・Human All Exon V5+UTRs Kit (約71 Mb)
・SureSelect XT Mouse All Exon Kit (約50 Mb)
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作業の流れ

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エクソーム変異解析(マッピング・変異検出)
参照配列に対し、シーケンスにより得られたリード配列をマッピングし、一塩基置換や短い挿入欠失部位を検出します。
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変異アノテーション
ヒトやマウスなど遺伝子情報が存在する生物種の場合は、検出した変異と遺伝子の位置関係、変異による影響(アミノ酸置換など)についてアノテーションを付加することも可能です。また、dbSNPなどの既知SNPs情報を付加することも可能です。
ヒト検体を解析する場合は、以下の情報も付加されます。
・日本人および東アジア人変異頻度情報
・疾患情報(疾患影響度)
・変異影響度情報
[オプション解析]
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体細胞変異解析
癌ゲノム変異を検出し、ドライバー遺伝子やパスウェイの探索を行います。
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家系変異解析
家系情報をもとに、優性変異、劣性変異、
de novo変異、複合ヘテロ接合体変異を選び、疾患に関わる変異を絞り込むことが可能です。
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クラウド解析サービス(VariantFilter)
変異解析結果より、クラウド上で変異の絞り込みを行っていただくことが可能です。目的遺伝子、既知SNP、変異クオリティ、人種別アレル頻度、疾患影響度、変異影響度などを使用した変異絞り込み、疾患群とコントロール群を指定し、疾患群特異的な変異の絞り込み等が可能です。
クラウド解析は事前のWEB会員登録が必要です。納品後6ヵ月間ご利用いただけます。