SMART法を用いたcDNA合成の概要

SMART法は、アダプターライゲーションを行うことなく、1st strand cDNA合成の間にcDNAの両末端に特定の配列を効率よく取り込ませることができる画期的技術である。末端にこれら特定の配列が取り込まれることで、増幅やRACE、ライブラリー構築をはじめ、非常に多くのアプリケーションへの展開が可能となる(図1)。さらに、1ステップでできるSMART法は簡便で効率がよく、非常に高い感度をもたらすとともに、確実に完全長cDNAを生成・増幅できる。

SMART法

SMART(Switching Mechanism At 5’End of RNA Template)法は、Moloney Murine Leukemia Virus由来の逆転写酵素(MMLV RT)に備わっている2つの能力に基づく。
  1. MMLV RTが鋳型となるmRNAの5’末端に達した際に、新たに合成したcDNA鎖の3’末端へヌクレオチドを付加する能力(ターミナルトランスフェラーゼ活性が寄与)
  2. 第二の鋳型への乗り換え能力

すべてのSMARTerキットでは、独自の付加配列をもつ改変型オリゴdTプライマーにより1st strand cDNA合成が行われる(図1)。
MMLV RTがmRNAの5’末端に達すると、逆転写酵素の有するターミナルトランスフェラーゼ活性により、新たに合成したcDNA鎖の末端にシトシンリッチな短い配列が自動的に付加される。このシトシンリッチな配列に、3’端に一連のグアニン残基を含むSMARTer Oligoがハイブリダイズし、MMLV RTのための鋳型を延長する。逆転写酵素は鋳型を乗り換え、SMARTer Oligoの末端までcDNA合成を続ける。SMARTer法では、改変型オリゴ dTプライマーとSMARTer Oligoの使用により、1st strand cDNA合成の際にcDNAの5’端と3’端に特定配列が付加されるため、得られた1st strand cDNAをただちにPCR増幅、RACE、ライブラリー構築など各種アプリケーションに利用できる。


図1. SMARTer RACEキットによる5’RACEフロー
SMARTer法は、逆転写酵素の持つcDNA末端でのターミナルトランスフェラーゼ活性と、鋳型を切り替えてさらにcDNA合成を続ける性質を利用した、高い効率での完全長cDNA合成が可能なClontech社独自の技術である。SMARTerキットでは、新しいSMARTer Oligoと逆転写酵素SMARTScribeを採用することで、従来のSMART法よりもさらに高い性能を実現している。

Version upしたSMARTerキット

新規逆転写酵素SMARTScribeと新たに設計したSMARTer Oligoを採用し、反応系に改良も加えた各種SMARTerキットはさらに高効率でcDNA合成ができ、従来のSMARTキットに比べ、より微量なサンプルや希薄なサンプルからも完全長cDNA合成が可能である。

SMART/SMARTer法は高品質完全長cDNAを濃縮

cDNA合成はRNAの構造によって阻害を受けやすいため、従来法でcDNA合成を行った場合にはしばしば5’端を欠いたcDNAしか得られない。SMART/SMARTer法はmRNAの5’末端でターミナルトランスフェラーゼ活性とその後の鋳型乗り換えを利用するため、末端に達していない逆転写産物がSMART/SMARTer Oligoを取り込んだり、その後のPCRで増幅されることはない。したがってSMART/SMARTer法で生成し増幅したcDNAには完全長cDNAが濃縮されている。また、5’SMART配列や改変型オリゴdTプライマーがゲノムDNAやrRNAの転写物に付加されることはないため、SMART/SMARTer法では高品質のcDNAが得られる。

最小限の操作で行う一段階シングルチューブプロトコール

SMARTerプロトコールは、1チューブでの一回の酵素反応で行う。サンプルロスが少なく、RNA分解の危険性も最小限となる。アダプターライゲーションやテール形成反応、精製ステップは不要である。

高効率、高感度を実現

アダプターライゲーション法などの従来技術と比較して高い付加効率が得られることもSMARTer法の一つの利点である。これにより、LCMサンプルや生検サンプルなど初発量が限られる場合にもSMARTer法は有用といえる。微量のtotal RNAからも十分量のSMARTer cDNAが得られ、さまざまな下流アプリケーションに使用できる。

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