この画面を閉じる

Protocols

プロトコール集Topへ

パラフィン包埋組織切片からのDNA回収 (TaKaRa DEXPAT™ Standard Protocol)

組織固定、包埋時の注意事項
PCRの成否は固定、包埋された組織の状態に直接影響される。一般的な組織固定、包埋時の注意事項を以下に述べる。
  1. 固定法
    固定液は10%ホルマリン液が浸透性がよく、推奨されている。浸透率は1時間に約1 mmとされ、小さな生検材料はそのまま浸漬する。大きい摘出材料では割を入れ固定液の浸透を高め、固定時間は3日以内にすることをお勧めする。また、佐藤ら2)はAMeX固定を推奨しているので参考にする。
  2. 包埋
    通常の方法でエタノール脱水、クロロホルム置換後、融点56~58℃のパラフィンに包埋する。ウイルス等の外来性遺伝子をターゲットとするときは新鮮な試薬を使用する。
操作方法

図1

図2
  1. パラフィン包埋組織(少なくとも0.6 cm×0.6 cm)を5 μmの厚さ(4~10μmであれば可能)に切断し、切片1~3枚を1.5 mlマイクロチューブ(オートクレーブ処理済み)に滅菌ピンセットで移す。
    切片量が多すぎると、抽出がうまくいかないので、多い場合はDEXPATを増量する。
    以下の操作も含め、実験用手袋を着用し、ヌクレアーゼの混入によるDNAの分解を予防する。試料の薄切にあたっては、ミクロトームはネオクリーナー等の過酸化水素系消毒剤、ついでエタノールで拭いておく。換刃メス、ピンセット等の器具は同様の処置を行った後、UV照射を10分以上行い、DNAの残存によるクロスコンタミを避けるようにする。
  2. DEXPATボトルを回転させ、試薬を均一に懸濁させる。試料の入ったチューブに迅速に0.5 mlずつ添加する(約20滴)。
    1チューブごとにボトル中の試薬を均一に懸濁する。静置しておくとPCR阻害物質吸着樹脂が沈殿するので注意する。
  3. マイクロチューブの蓋をし、100℃で10分間加熱処理する。
    ヒートブロックを使用すると便利である。
    また、マイクロチューブの蓋にあらかじめ注射針(例. 23G等)で穴をあけておくと内圧上昇による試料の飛散を防げる。この場合、アルミホイルで軽くマイクロチューブの上部をカバーしておくと水分蒸発を防げる。
  4. 加熱後、直ちにマイクロチューブを12,000 rpm、4℃で10分間遠心分離する(図1)。
  5. マイクロピペットで上層にできたパラフィン薄膜を避けて、樹脂並びに組織残渣を吸い取らないように水層を分取する(図2)。
    このうち、1~10 μlをPCR反応のテンプレートとしてそのまま使用する。50 μl PCR反応系で5 μl の使用が標準だが、切片の大きさ、状態で変動する(PCRに用いるサンプル量が多すぎると、PCR反応が阻害されることがあるので注意する)。
この画面を閉じる