コールドショック発現系について

pCold™ I DNAとpG-Tf2との共発現による目的タンパク質の発現(可溶化促進例、発現・可溶化の成功例)

pCold™ I DNA(製品コード 3361)pG-Tf2との共発現による目的タンパク質の発現方法

大腸菌宿主としてBL21株を用い、以下の手順で共発現実験を行った。
1. 共発現系の構築
  1. シャペロンプラスミドpG-Tf2でBL21 Competent Cellsを形質転換する(クロラムフェニコールで選択)。
  2. 形質転換体(BL21/pG-Tf2)を液体培養し、コンピテントセルを調製する。
  3. 目的遺伝子を挿入したpCold I DNAでBL21/pG-Tf2株を形質転換する(クロラムフェニコールとアンピシリンで選択)。
  4. 共発現大腸菌を得る。*
  5. * pG-TF2で既に形質転換済みの大腸菌BL21コンピテントセルも発売しています。
    製品コード 9124:Chaperone Competent Cells pG-TF2/BL21
2. 共発現実験
  1. pCold I DNAとpG-Tf2の共発現大腸菌を、プラスミド選択薬剤(クロラムフェニコールとアンピシリン)およびシャペロン発現誘導用薬剤(1 ng/mlテトラサイクリン)を含むL培地で、37℃で培養する。
  2. OD600 = 0.4~0.5付近で、培養液を15℃に冷却し、30分間放置する。
  3. 培養液に0.5 mM IPTGを添加し、15℃でさらに24時間振とう培養する。
  4. 集菌、破砕し、SDS-PAGEにより、全タンパク質画分、可溶性画分における目的タンパク質の発現量を確認する。

なお、比較のために行ったpCold I DNAのみでの発現実験では、目的遺伝子を含むpCold I DNAで形質転換したBL21株を、アンピシリンを含むL培地でOD600 = 0.4~0.5付近まで培養し、培養液を15℃で30分間放置後、培養液に0.5 mM IPTGを添加してさらに15℃で24時間振とう培養した。

可溶化促進の例

ヒト遺伝子A(推定分子量70 kDa)は、pCold I DNA単独の発現系ではほとんどすべてが不溶性発現となったが、シャペロンプラスミドpG-Tf2を共発現させた系では、可溶性画分の発現量が顕著に増加した(図1)。

 図1. pG-Tf2による可溶化促進の例
M:マーカー
T:total
S:soluble

発現・可溶化の成功例

ヒト遺伝子B(推定分子量24 kDa)は、pCold I DNA単独の発現系ではほとんど発現が認められなかったが、シャペロンプラスミドpG-Tf2との共発現を行うことで、目的タンパク質の発現が確認されただけでなく、そのほとんどが可溶化していた(図2)。

 図2. 発現・可溶化の成功例
M:マーカー
T:total
S:soluble

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