動物の各器官は、さまざまな種類の細胞や細胞外基質を含む多様性のある組織より成り立っているため、器官からのゲノムDNA精製は困難を伴う作業となる場合が多い。組織に含まれるコラーゲンやプロテオグリカンなどの高分子は、組織の溶解を阻害するだけでなく、精製DNAに混入した場合、PCR増幅などの酵素反応にも影響を与える。
NucleoSpin 96 DNA RapidLyseは、器官や細胞から高効率でゲノムDNAをハイスループット抽出・精製するためのキットである。独自の溶解バッファーの採用により、1時間の溶解反応だけでさまざまな組織や細胞に対応することができ、迅速かつ効率のよい抽出・精製を可能としている。
原理 |
シリカメンブレン法 |
形状 |
96ウェルプレート |
操作 |
遠心分離、加圧または吸引(自動化装置または手動) |
サンプル由来 | 新鮮、凍結、乾燥、エタノール保存組織 真核培養細胞 動物尾、耳 |
サンプル量 |
~30 mg 新鮮組織、 ~106個 培養細胞 |
回収量 |
~4 μg DNA/mg 組織 |
A260/280 |
1.7~1.9 |
溶出液量 |
100 μl |
溶解時間 |
~60分 |
精製時間 |
60分(溶解後) |
結合容量 |
40 μg |
図1.哺乳動物組織からのDNA精製
本製品(MN)、Q社競合製品を使用して哺乳動物の心臓、肝臓、腎臓からゲノムDNAを精製した。同容量の精製DNAをアガロースゲル電気泳動に供し、その収量を比較した。
NucleoSpin DNA RapidLyseを用いた場合、すべての組織で収量が良いことが分かった。
MN:NucleoSpin DNA RapidLyse
Q:Q社競合製品
(MN社比較data)
図2.精製DNAを用いた定量PCR実験
本製品(オレンジ)またはQ社競合製品(青)を使用して哺乳動物の心臓、肝臓、腎臓からゲノムDNAを精製し、18S rDNAを検出するqPCRの鋳型として使用した。
本製品により精製されたゲノムDNAを使用した場合、より低いCt値が得られ、高純度のDNAが収量よく精製できていることが分かった。
MN:NucleoSpin DNA RapidLyse
Q:Q社競合製品
(MN社比較data)