細胞周期モニタリングベクター(Fucci)

  • 培養細胞または生きた組織の細胞周期をリアルタイムにモニタリング
  • 細胞全体または核のみを標識
  • 各周期移行中の細胞形態を可視化
  • 安定発現細胞周期レポーターとして長期間モニター可能
製品コード メーカー
略称
製品名 容量 価格(税別) 特記事項 説明書、CoA
データシート
ベクター情報
参考資料 カート
Takara Code
631462

CLN

Clontech
pRetroX-SG2M-Cyan Vector
取寄 ライセンス
10 μg ¥116,000
説明書・データシート・ベクター情報
Z1462N
631463

CLN

Clontech
pRetroX-G1-Red Vector
取寄 ライセンス
10 μg ¥116,000
説明書・データシート・ベクター情報
Z1463N
631464

CLN

Clontech
pRetroX-SG2Mcyto-Red Vector
ライセンス
10 μg ¥116,000
説明書・データシート・ベクター情報
Z1464N
631465

CLN

Clontech
pRetroX-SG2M-Red Vector
取寄 ライセンス
10 μg ¥116,000
説明書・データシート・ベクター情報
Z1465N
631466

CLN

Clontech
pTRE-CellCycle Vector
取寄 ライセンス
10 μg ¥116,000
MTAの確認が必要な製品です 説明書・データシート・ベクター情報
Z1466N

製品説明

Cell Cycle Monitoring Vectorsは蛍光標識細胞周期タンパク質(Fucci : fluorescent ubiquitination-based cell-cycle indicators) (1, 2) を発現し、細胞周期をリアルタイムに追跡することを可能とするプローブである。
Fucciベクターは細胞周期中に存在量が変動するCdt1またはGemininタンパク質を発現する。細胞内のCdt1とGemininタンパク質レベルは、ユビキチン-プロテアソーム系の選択的タンパク質分解によってコントロールされ、Cdt1タンパク質レベルはG1期に最も高く、S期に移行すると低下する。一方、GemininレベルはS期に上昇し、S/G2/M期の間は維持され、G1期前には分解される。Cdt1とGemininを蛍光タンパク質のmCherry(赤)またはAmCyan1(シアン)との融合タンパク質として発現させることにより、細胞周期の進行をリアルタイムに可視化することができる。

リアルタイムに細胞周期と形態をモニタリング

Fucciベクターは核だけを標識するベクターと、細胞形態を可視化させるために核と細胞質の両方を標識できるベクターから選択することができる。Fucciプローブは核のみを標識するが、改変型hGemininはS~M期に核と細胞質に分布し、細胞形態の観察に適している(表1) (3)。

Fucciベクターは、レトロウイルスベクターまたはプラスミドベクターから選択できる(表1)。各プローブは赤またはシアンの蛍光タンパク質タグとhCdt1またはhGemininの欠損変異体を搭載している。レトロウイルスベクターを使用することで幅広い哺乳類細胞で発現させることができ、さらに宿主ゲノムに組込まれて安定的に継続して発現できる。

表1. 各種Fucciプローブ 横にスクロールできます
ベクター名称フェーズ:色局在性タイプ利点
pRetroX-SG2M-Cyan VectorS/G2/M:シアンレトロウイルス
pRetroX-G1-RedG1:赤レトロウイルス
pRetroX-SG2Mcyto-RedS/G2/M:赤核および細胞質レトロウイルス細胞形態の可視化
pRetroX-SG2M-RedS/G2/M:赤レトロウイルス
pTRE-CellCycleG1:赤、S/G2/M:シアンプラスミドTet誘導性;1ベクターで2個のFucciプローブを発現


プラスミドベクター、pTRE-CellCycleは、ドキシサイクリン(Dox:テトラサイクリン類似物質)濃度依存的に制御可能なTet-On/Tet-Offテクノロジーを採用しており、pTet-On Advanced vector/pTet-Off Advanced vector(製品コード 631069、631070)などと組合せることで両方向性プロモーターからの2種類のFucciプローブ発現量を厳密にコントロールすることができる。これらのプローブはG1期にある細胞核においてmCherry(赤色)を、S/G2/M期にある細胞核においてAmCyan1(シアン)を発現する。

ClontechのFucciベクターを使用することにより、生きた細胞の細胞周期と同時に細胞集団中の細胞周期分布を追跡することができる。また、細胞周期における細胞形態の変遷をも追跡することが可能である。


図1. Fucciプローブによる細胞周期の可視化
Doxycycline (Dox)存在下でpTRE-CellCycleベクターから発現されたFucciプローブを用いて、S期のHEK293 Tet-On Advanced細胞をモニタリングした。細胞周期の進行により核内の蛍光色が変化する。MからG1期への移行中は無色、G1期はmCherryにより赤色、G1からS期への移行中は淡いピンクもしくは紫色を呈する。SからM期へ移行する間はAmCyan1によりシアンに染色される。



図2. レトロウイルスベクターを用いた様々なFucciプローブ
Geminin蛍光タンパク質 (fp)はS期~M期にかけて可視化される。一方、Cdt1-fp(pRetroX-G1-Redにより発現)はG1期において可視化される。pRetroX-SG2Mcyto-Redは欠損Gemininを発現し、S期~M期にかけての、細胞形態の可視化を可能にする。



図3. 2種類のFucciプローブを厳密にコントロールすることにより、細胞周期を完全に可視化、追跡することができる
両方向性テトラサイクリン誘導ベクターであるpTRE-CellCycleは細胞周期の全フェーズにおいて、各Fucciプローブの誘導発現を可能としている(パネルA)。このベクターがトランスフェクトされた細胞ではG1期にCdt1融合タンパク質が発現し、SからM期にかけてはGeminin融合タンパク質が発現する(パネルB)。パネルCはDox存在下でpTRE-CellCycleベクターをトランスフェクトさせたHEK293 Tet-On Advanced細胞の蛍光顕微鏡写真である。

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