1983年、Marshall & Warrenによって発見されたHelicobacter pyloriは胃炎の原因菌で、発見以来、胃潰瘍をはじめとする種々の胃疾患との関連が注目されている。H. pyloriの発育は非常に遅く、培養での分離には1週間を要するが、PCRを用いれば、開始から遅くとも7時間後には、結果を判定することができる。しかし、胃炎患者より採取された胃生検材料を用いてPCR検出を行う際、通常のTaq DNA Polymeraseを用いたPCRでは、非常に増幅されにくいテンプレートDNAが存在する。今回、これらのテンプレートDNAを用い、高増幅型のDNA PolymeraseであるTaKaRa Ex Taqと通常のTaq DNA Polymeraseとの検出感度の比較データを神戸市環境保健研究所 細菌部の黒川 学先生よりご提供いただいたので、以下に示す。
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100 μl細胞溶解液を加える 94℃、15分加熱 9 UのProteinase Kを加える 60℃、60分加熱 | ||||||||||||||||||||||||||||
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300 μlのDNA抽出液を加える 1分、緩やかに撹拌 10,000 rpm、3分遠心 上清に500 μlのエタノールを加え撹拌 10,000 rpm、1分遠心 沈渣をエタノールで2回洗浄 乾燥後100 μlのTE Bufferに溶解 | ||||||||||||||||||||||||||||
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アガロース電気泳動 EtBr染色 | ||||||||||||||||||||||||||||
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従来のTaq DNA Polymeraseでは、バンドがほとんど認められない検体でも、TaKaRa Ex Taqを用いれば明瞭なバンドを確認することができた(図2)。
Lane 1: | H. pylori NCTC11637 | Taq |
Lane 2: | 胃生検(1) | |
Lane 3: | 胃生検(2) | |
Lane 4: | 胃生検(3) | |
Lane 5: | H. pylori NCTC11637 | TaKaRa Ex Taq |
Lane 6: | 胃生検(1) | |
Lane 7: | 胃生検(2) | |
Lane 8: | 胃生検(3) | |
Lane 9: | マーカー |
PCR反応液組成
Template DNA | 10 μl |
TaKaRa Ex Taq or Taq DNA Polymerase | 2.5 U |
10 × Ex Taq Buffer or PCR Buffer | |
dNTP Mixture | 200 μl |
forward and reverse primer* | 各0.2 μl |
培養法とPCR法との具体的な検出感度の違いと問題点について、弊社定期発刊誌「BIO VIEW 17号」にて神戸市環境保健研究所 細菌部の黒川 学先生にご執筆いただいております。詳しくはそちらをご覧ください。