シアル酸蛍光標識用試薬キット

Application1:糖タンパク質由来PA化糖鎖スタンダードの分析

(1)部分酸水解によるシアル酸の遊離

PA化糖鎖スタンダード021、023、024、025各2.5 μl(約25 pmol相当、図4)を0.05 N HCl 50 μl中、80℃で1時間加熱し、シアル酸を遊離させた。

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図4 PA化糖鎖スタンダード

(2)シアリダーゼによるシアル酸の遊離

PA化糖鎖スタンダード021、023、024、025各2.5μl(約25 pmol相当)を基質とし、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)50 μl中、Arthrobacter ureafaciens由来シアリダーゼ100 mUを加えて、37℃で30分間反応させた後、100℃で3分間加熱して酵素反応を終了した。

(3)遊離シアル酸のDMBによる蛍光標識とHPLC分析

(1)または(2)で得られたサンプルをキットのプロトコールに従ってDMB標識を行った反応液のうち10 μlを図2に示したHPLC条件で分析を行った(一例として、PA化糖鎖スタンダード021のHPLC分析パターンを図5に示した)。
サンプルのHPLCのピークの高さと、サンプルと同時に実験を行ったシアル酸スタンダードのピークの高さを比べることによって、サンプル中のシアル酸の定量を行うことができた。結果を表1に示した。

図5 PA化糖鎖スタンダード021DMB化遊離シアル酸のHPLC分析

(4)PA化糖鎖の還元末端の定量

PA化糖鎖スタンダード021、023、024、025各5 μl(約50 pmol相当)をガラスチューブに入れ濃縮乾固し、5.7 N定沸点塩酸50 μlを加えて減圧封管した。それを100℃で16時間加熱することにより酸水解を行った。開管後濃縮乾固させ、水を少量加えて共沸し、塩酸を完全に留去した。残渣に新しく調製した飽和NaHCO3水溶液を48 μl加えて溶かし、反応液が弱塩基性になっていることを確かめた後、無水酢酸2 μlを加えよく撹拌した。15分間室温に放置した後、さらに48 μlの飽和NaHCO3水溶液と2 μlの無水酢酸を加え、よく撹拌後30分間室温に放置し、N-アセチル化を行った。反応液のうち20 μlを図3に示したHPLC条件で分析を行った(一例として、PA化糖鎖スタンダード021のHPLC分析パターンを図6に示した)。サンプルのHPLCのピークの高さと、サンプルと同時に実験を行ったPA-GlcNAcスタンダードのピークの高さを比べることによって、還元末端のPA-GlcNAcの定量を行った。結果を表1に示した。(3)で求めたシアル酸量をPA-GlcNAc量で割り算することによって、糖鎖1モル当たりの結合シアル酸のモル数を求めることができる(表1)。

表1 PA化糖鎖スタンダードの糖鎖あたりの結合シアル酸数
PA化糖鎖
スタンダード  
Neu5Ac(pmol/μl) PA-GlcNAc
(pmol/μl)
糖鎖あたりの結合シアル酸数(個)
酸水解 酵素消化 酸水解 酵素消化
021 13.0 12.9 11.6 1.1 1.1
023 25.0 26.1 11.2 2.2 2.3
024 59.7 60.8 18.6 3.2 3.3
025 58.9 65.0 14.7 4.0 4.4


図6 PA化糖鎖スタンダード021の還元末端のHPLC分析

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