【方法】
GFP遺伝子をpDON-AIの
BamH I部位に挿入して、組換えレトロウイルスベクタープラスミドpDON-AI-GFPを作製した。これをパッケージング細胞にトランスフェクションして、GFPを発現する組換えレトロウイルスを作製した。組換えレトロウイルスベクタープラスミドの構造と、標的細胞のゲノムに組み込まれたときのプロウイルスDNAの構造を以下に示す。
以下に示すフローチャートに従って、まずCD34
+造血幹細胞のプレスティミュレーション(前刺激)、RetroNectinプレートの準備を行った。次に調製した組換えレトロウイルス(DON-AI-GFP)を、RetroNectinプレート上で、あるいはポリブレン存在下で、CD34
+造血幹細胞に感染させ、GFP遺伝子を導入した。細胞を回収した後、GFPを発現している細胞の割合をFACSで分析し、両者の条件における遺伝子導入効率を比較した。
CD34+造血幹細胞のプレスティミュレーションRetroNectinコートプレートの準備CD34+造血幹細胞への遺伝子導入
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細胞ストック(1×106 cells)を37℃で溶解 |
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20% FBS含有IMDM 10 mlで希釈 |
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10 cmφの未処理ディッシュに添加 |
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増殖因子添加(100 ng/ml SCF、20 ng/ml IL-3、50 ng/ml IL-6) |
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37℃、5% CO2、48時間培養 |
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細胞数を測定し、2×106 cellsになるように懸濁 |
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RetroNectin(1 mg/ml)をPBSで80 μg/mlになるように希釈 |
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24穴未処理プレートに0.5 ml添加(20 μg/cm2) |
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室温、2時間インキュベーション |
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上清を除き、2% BSA/PBS溶液を500 μl添加し、 室温で30分間ブロッキング |
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ウェルをHBSSで洗浄 |
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CD34+造血幹細胞(2×104 個/well)
ウイルス液(DON-AI-GFP;m.o.i=5)
増殖因子(100 ng/ml SCF、20 ng/ml IL-3、50 ng/ml IL-6)*
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これらをmixし、RetroNectinコートプレートに添加 |
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37℃、5% CO2、4時間培養 |
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20% FBS含有IMDM 0.5 mlに培地交換 |
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37℃、5% CO2、48時間培養 |
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細胞を回収してGFP発現細胞をFACSで解析 |
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ポリブレンを用いる条件では、さらに7.5 μg/mlのポリブレンを添加し、
RetroNectinコートプレートを用いずに培養を行った。 |
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【結果】
RetroNectinコートプレート上で組換えレトロウイルスをCD34
+造血幹細胞に感染させた場合の遺伝子導入効率(GFP遺伝子を発現している細胞の割合)は25.8%であった。一方、ポリブレンを用いた場合の遺伝子導入効率は0.3%であった。RetroNectinを用いることにより、CD34
+造血幹細胞への遺伝子導入効率が高まることが確認できた。
A |
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B |
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A:FACSによるGFP発現細胞の解析
B:ポリブレンまたはRetroNectin使用条件における遺伝子導入効率