PrimeSTAR® Mutagenesis Basal Kit
実験例-5 30塩基挿入変異体(5つの制限酵素サイト導入)の作製例
【方法】
サイズが3.2 kbのプラスミド(pUC118 DNA)に5つの制限酵素サイト(XhoⅠ、NdeⅠ、EcoRⅤ、BglⅡ、BalⅠ)を挿入するため、挿入配列30塩基全長(CTCGAGCATA TGGATATCAG ATCTTGGCCA;GC含量47%)を変異導入プライマーの5'側のオーバーラップ配列として変異導入を試みた。
プラスミド10 pgを鋳型に、上記30塩基のオーバーラップ配列を有する変異導入プライマーとPrimeSTAR Max Premixを用いてPCR(50 µl)を行った。目的サイズのPCR増幅産物を確認した後、それぞれ2 µlをE. coli JM109コンピテントセル(1×108 cfu / µg pUC118)100 µlに添加し、0℃ 30分、42℃ 45秒の処理後SOC培地1 mlを加えて37℃で1時間振とうした。そのうち100 µlを選択プレート(LB+Amp, IPTG, X-gal)上で培養し、白コロニー(変異体)と青コロニー(バックグラウンド)をカウントした。
さらに、得られた白コロニー(変異体)10個よりそれぞれプラスミドを調製し、制限酵素で切断を行い、5つの制限酵素サイト(XhoⅠ、NdeⅠ、EcoRⅤ、BglⅡ、BalⅠ)の有無ならびに変異導入の成否(正しく変異導入が起こった場合、プラスミドはそれぞれ一箇所で切断される)を判定した。
【結果】
3.2 kbのプラスミドを用いた5つの制限酵素サイト挿入実験では変異導入体(白コロニー)464個に対しバックグランド(青コロニー)は3個で99%の確率で変異導入体が得られた。それらより任意に取得した10個のプラスミドを各制限酵素で切断したところ、全ての制限酵素において100% (10/10)の確率で切断でき、5つの制限酵素サイト挿入を確認した。
以上のことより、30塩基の挿入変異においても変異導入プライマーの5’側のオーバーラップ配列を30塩基にすることで、目的サイズのPCR産物が確認できる場合には効率よく変異導入体を取得できることを確認した。
注:オーバーラップ配列の鎖長およびGC含量が増加するに伴いPCR産物は得にくくなる。
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