抗体

免疫組織染色・酵素抗体法(一般的な手法)

免疫組織染色-酵素抗体法

<ホルマリン固定パラフィン包埋切片の場合>
  1. 脱パラフィン
    キシレン5分
    キシレン5分
    キシレン5分
    100%エタノール5分
    100%エタノール5分
    90%エタノール5分
    80%エタノール5分
    流水洗浄2分
    蒸留水
  2. 抗原賦活処理(抗原がホルマリンによってマスクされている場合)
    ◆酵素処理(トリプシン・ペプシン・ProteinaseKなど)
    ◆加熱処理(オートクレーブ・マイクロウェーブ・温浴など)
  3. ブロッキング
    ◆Peroxidaseで発色する場合は内因性Peroxidaseをブロッキングする。
    ・3%過酸化水素溶液
    (凍結切片の場合は含0.3%過酸化水素メタノール液でブロッキングする)
    5~15分
    ・反応後TBS(製品コード T9141)またはPBS(製品コード T900)で洗浄5分
    ◆アビジン-ビオチンの系を使用する場合は内因性ビオチンをブロッキングする(DAKO社製)。
    ・15 mM NaN3含0.1%アビジン溶液10分
    ・反応後TBSまたはPBSですすぎ、TBSまたはPBSで浸漬5分×1回
    ・15 mM NaN3含0.1%ビオチン溶液10分
    ・反応後TBSまたはPBSですすぎ、TBSまたはPBSで浸漬5分×1回
  4. 非特異的反応の阻止
    ・ブロックエース(大日本製薬社製)原液、または1%BSA/TBS or PBS
    で反応後、TBSまたはPBSですすぐ
    5~15分
  5. 一次抗体の反応
    ・室温で一次抗体反応(5~10 μg/ml)
    (25%ブロックエース/TBS or PBSまたは1%BSA/TBS or PBSで希釈して使用。2~5 μg/mlの低濃度で4℃一晩反応させてもよい。)
    30~60分
    ・反応後TBSまたはPBSですすぎ、TBSまたはPBSで浸漬5分×3回
  6. 二次抗体の反応(各社から様々なキットが販売されている)
    ◆標識二次抗体を使用する方法(HRP・FITC)
    ◆ビオチン化二次抗体を使用する方法
    ◆ENVISION(DAKO社製)を使用する方法など
    ・反応後TBSまたはPBSですすぎ、TBSまたはPBSで浸漬5分×3回
  7. 発色(Peroxidaseの発色)
    ・DABタブレット(シグマ社、DAKO社製)を溶解して調製したDAB基質溶液を
    切片上に滴下する。
    5~15分
    ・反応停止:蒸留水で洗い流して蒸留水に浸漬
  8. 対比染色(核染色)
    ・マイヤーのヘマトキシリン液(または3%メチルグリーン)に浸漬1~5分
    ・浸漬後、流水で洗浄脱色10~15分
  9. 脱水・透徹
    80%エタノール
    90%エタノール
    100%エタノール
    100%エタノール
    キシレン
    キシレン
    キシレン
  10. 封入
    マウントメディウムで封入する

実験例

  • 検体:10%中性ホルマリンにて3~10日間固定したパラフィン包埋切片
  • 一次抗体:Anti-Human E-cadherin(HECD-1)2~10 μg/ml
  • 操作方法:
    1. 脱パラフィン
    2. 抗原賦活処理
      (1)耐熱性のビーカーあるいは染色バット(電子レンジで使用可能なもの)を2個準備し、その中に切片を浸すのに充分量の10 mMクエン酸バッファー(pH6.0)を加える。
      (2)脱パラフィン化した組織切片を片方の容器に浸して家庭用電子レンジのあたため(調理)モード(約500~900W)で3~5分間照射する。
      (3)切片をもう一方のバッファーの入った容器に移し替えて、(2)と同様に電子レンジで照射する。ひとつの切片に対して6~8回(約20~40分)繰り返し行い、照射する毎にバッファーの入った容器を交換する(ふたつの容器を交互に使用する)。
      (4)照射後、電子レンジから取り出し、そのまま室温で15~20分間放置冷却する。
      (5)TBSに5分間浸す。
      ※組織染色を行う場合、TBSへのCaCl2の添加は特に必要ありません。
      ※賦活操作中に切片が剥離しないように、スライドガラスは必ずシランコーティングしたものをご使用ください。
    3. 内因性ビオチンブロッキング
    4. 一次抗体反応 4℃、一晩
    5. ABC法によりDAB発色
    6. 対比染色(マイヤーのヘマトキシリン液による核染色)
    7. 脱水、透徹、封入