Viable Bacteria Selection Kit for PCR (Gram Negative)
EMA処理条件の検討
A. 生菌サンプル、死菌サンプルの準備
対象とする細菌の生菌サンプル【培養した細菌の懸濁液など】と死菌サンプル【生菌サンプルを熱処理したものなど】を準備し、6段階程度に段階希釈して検体サンプルとする。それぞれについて、EMA処理を行ったものと行わないものを調製し、比較検討して最適なEMA処理条件を決定する。
(1)生菌サンプル/EMA処理なし
(2)生菌サンプル/EMA処理あり
(3)死菌サンプル/EMA処理なし
(4)死菌サンプル/EMA処理あり
→(1)と(2)の結果を比較し、EMA処理による「生菌由来DNAへの影響」と「検出感度」の確認を行う。
→(3)と(4)の結果を比較し、EMA処理による「PCR増幅を抑制可能な死菌量」を求める。
検体サンプルはそれぞれ100 μl程度を用意し、40 μlをEMA処理に使用する。残りは氷上もしくは4℃で保存して、40μlをEMA処理なしサンプルとして「C. NucleoSpin Tissue XSを用いたDNA抽出」に用いる。
B. EMA処理
菌種およびPCR増幅サイズにあわせて、以下の2項目について処理条件を最適化する。
- 菌種によって、氷上静置時間を変更(B-4のステップ)
- PCR増幅サイズに応じて、処理回数を変更(B-3からB-5のステップ)
【EMA処理操作】
*光照射装置 [LED Crosslinker 12(製品コード EM200)、LED Crosslinker]を使用する場合
- 1.5 mlチューブ(もしくは0.2 mlチューブ)にA.で調製したサンプル液40 μlを準備する。
- Solution A-gn 10 μlを添加し、混合*1 後、軽くスピンダウンする。
- Solution B-gn 5 μlを添加し、混合*1 後、軽くスピンダウンする。
- 遮光して氷上で5(~15)分間静置する。*2
(照射時間の例) |
EMA 処理を1回のみ行う場合: | 15分間光照射する。 |
EMA処理を複数回行う場合: | 各回の処理で5分間光照射を行い、最後の回のみ15分間光照射する。 |
- 光照射装置にセットし、光照射する。*3
- サンプルをスピンダウンし、95℃、5分間ヒートブロックで加熱する。[加熱殺菌]
*1 | 短時間の緩やかなボルテックスもしくは数回のタッピングで混合する。 |
*2 |
菌種によって最適な処理時間が異なる。まずは5分で予備実験を行い、死菌由来DNAのPCR増幅抑制が不十分な場合は、処理時間を延長する。 必要なら3~5の工程を2、3回繰り返して行う。
【参考】 | qPCR/PCR 検出の増幅サイズが短い(100 bp前後)の場合は3~5の処理工程3回、 増幅サイズが長い(1 kb前後)の場合は処理工程1回が標準です。
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*3 | 光照射装置がない場合は、氷上にチューブを横置きし、光照射用ランプを上部から照射する。下記の照射条件でも良好な結果が得られることを確認している。
ハロゲンランプ 照射距離20 cm
[岩崎電気株式会社、写真証明用アイランプ スポット(集光形)、PRS500W]
LED ランプ 照射距離2 cm
[Panasonic、EVERLEDS(エバーレッズ)LED 電球 6.9W(昼光色相当)、LDA7DA1]
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C.NucleoSpin Tissue XSを用いたDNA抽出
- B.でEMA処理を行ったサンプル全量(55~65 μl)およびA.で氷上(もしくは4℃)保存していたサンプル液40 μl(+滅菌精製水 15~25 μl:EMA処理ありサンプルと揃える)に、それぞれBuffer T1を160 μl 加える。軽く混合して、スピンダウンする。
- さらにProteinase K*1を16 μl加える。ボルテックスにて混合(5秒2回)して、スピンダウンする。
- 56℃、10分間インキュベートする。
- スピンダウンしたサンプルにBuffer B3を160 μl 加える。ボルテックスにて混合(5秒2回)して、スピンダウンする。
- 70℃、5分間インキュベートし、ボルテックスする。
- 各サンプルが室温に戻ったことを確認して、スピンダウンしたサンプルにエタノール(96~100%)を160 μl加え、ボルテックスにて混合(5秒2回)して、軽くスピンダウンする。
- NucleoSpin Tissue XS ColumnをCollection Tube(2 ml)にセットする。
- 6.の溶液をカラムに添加し、11,000×g、1分間遠心する。
- カラムを新しいCollection Tube(2 ml)にセットする。
- カラムにBuffer B5*2を50 μl添加し、11,000×g、1分間遠心する。
ろ液を捨てた後、同じCollection Tubeにカラムをセットする。
- カラムにBuffer B5*2を50 μl添加し、11,000×g、2分間遠心する。カラム上に液が残っていないことを確認する。
- カラムを1.5 mlマイクロチューブにセットする。
- カラムにBuffer BEを20 μl添加し、11,000×g、1分間遠心し、DNA溶液を回収する。
- 得られたDNA溶液の液量がおおよそ20 μlであることを確認する。
*1 | Proteinase K | : | 製品コード 740901.50(50 回用)の場合:Proteinase K(凍結乾燥品)20 mg(1 vial)に、Proteinase Buffer 1 mlを加え溶解する。溶解後のProteinase K溶液は-20℃で保存する。 |
*2 | Buffer B5 | : | Wash Buffer B5 (concentrate) 2 mlあたり、8 mlのエタノールを加える。
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D.リアルタイムPCRまたはエンドポイントPCRによる検出
C-13で調製したEMA処理あり及びEMA処理なしのDNA溶液を用いて、リアルタイムPCRまたはエンドポイントPCRによりターゲット遺伝子の検出を行い、「生菌由来DNAへの影響」「検出感度」を確認し、「EMA処理によるPCR増幅を抑制可能な死菌量」を求める。(「条件検討例およびモデル実験」の項目1、2を参照)
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