Viable Bacteria Selection Kit for PCR (Gram Positive)

実検体での検出

●Control Test Kit (Viable Bacteria Selection) の利用
Viable Bacteria Selection Kit for PCRシリーズの試薬コンポーネントには反応確認用のプラスミドDNAがあらかじめ混合されており、検体に対するEMA処理が正しく行われると、このプラスミドDNAも同時に修飾され、PCR増幅できない状態になる。Control Test Kit (Viable Bacteria Selection) を用いて、このプラスミドDNA上の領域をターゲットとするqPCR/PCR増幅を行うことで、検体成分などによるEMA処理の阻害が起こらなかったかどうかを確認できる。

比較のため、同一検体についてEMA処理ありサンプル、EMA処理なしサンプルをそれぞれ用意し、以下のように解析することを推奨する。
EMA処理使用する検出キット目的
あり対象菌のターゲット遺伝子を検出する適切なqPCR/PCR検出系生菌由来DNAを検出
Control Test Kit (Viable Bacteria Selection)検体由来成分によるEMA処理反応阻害の有無を確認
なし対象菌のターゲット遺伝子を検出する適切なqPCR/PCR検出系死菌および生菌由来DNAを検出

A.サンプル調製

PCRによる検出は非常に高感度なため、実験環境や使用器具の汚染には極力注意を払い、コンタミネーション防止を心がける。
例)可能な限り、使い捨て器具を使用する。
使い捨てにできないものは、洗浄後、乾熱滅菌処理を施す。
マイクロピペットは用途別に準備する(本キットを用いた検体EMA処理及びDNA抽出用とPCR試薬調製用を分ける)。

【サンプル調製】
検出目的の菌種に適した方法でサンプル調製を行い、最終的に100 μl程度の菌懸濁液を用意する。このサンプル液のうち40 μlを「B. サンプルのEMA処理」に使用する。残りは氷上もしくは4℃で保存し、EMA処理なしサンプルを用意するために40 μlを「C. NucleoSpin Tissue XSを用いたDNA抽出」に使用する。
なお、菌液に不純物が多く含まれるとEMA処理で光照射が不十分になることがあるため、サンプル調製の際にはできる限り不純物を除去する。

B. サンプルのEMA処理

*光照射装置 [LED Crosslinker 12(製品コード EM200)、LED Crosslinker]を使用する場合

条件検討により最適化した「氷上静置時間」と「処理回数」、「Solution B-gp濃度」でEMA処理を行う。

【EMA処理操作】

操作は氷上で行うこと。

  1. 必要に応じてSoution B-gpをDilution Bufferで希釈する。(用時調製)
  2. 1.5 ml チューブにA.で調製したサンプル液40 μlを準備する。
  3. Solution A-gp 10 μlを添加し、混合*2後、軽くスピンダウンする。
  4. Solution B-gp(またはSolution B-gp 希釈液)5 μlを添加し、混合*2後、軽くスピンダウンする。
  5. 遮光して氷上で5(~15)分間静置する。
  6. 光照射装置にセットし、光照射する。(低温:4℃もしくは氷上)
    (照射時間の例)
    EMA 処理を1 回のみ行う場合 : 15分間光照射する。
    EMA 処理を複数回行う場合 : 各回の処理で5分間光照射を行い、最後の回のみ15分間光照射する。
  7. 必要に応じて、4.~6.の工程を繰り返す。
  8. サンプルをスピンダウンし、95℃、5分間ヒートブロックで加熱する。[加熱殺菌]*3
    A. で氷上(もしくは4℃)保存していた懸濁液40 μl(+15~25 μl滅菌精製水:EMA処理を行ったサンプルと液量を揃える)も8. の加熱殺菌と同様の処理を行う。*3
*1 光照射は4℃(もしくは氷上)で行う。
光照射装置のAC アダプターが結露すると感電や火災の恐れがありますので、結露しないように注意してください。低温室(4℃)で光照射を行う場合、光照 射装置の低温室からの出し入れは避けてください。冷蔵庫を利用する場合は、光照射装置の本体のみを冷蔵庫に入れ、ACアダプター部分は室温に置いて使用する。
光照射装置がない場合、あるいはACアダプターが結露しないように保冷できない場合は、LEDランプ [ Panasonic、EVERLEDS(エバーレッズ)LED 電球6.9 W(昼光色相当)、LDA7DA1 ] を用いて、氷上にチューブを横置きし、照射距離2 cmで上部から照射する。この方法で同等の結果が得られることを確認している。
*2短時間の緩やかなボルテックスもしくは数回のタッピングで混合する。
*3対象菌種に適した方法(条件)で加熱殺菌(不活化処理)を行う。

<ご参考>
ハロゲンランプ [ 岩崎電気株式会社、写真証明用アイランプ・スポット(集光形)、PRS500W ]を使用する場合は、氷上にチューブを横置きし、照射距離20 cmで上部から照射してください。
ただし、光照射時間は5分間で行ってください。
(照射時間の例)
EMA処理を1回のみ行う場合 : 5分間光照射する。
EMA処理を複数回行う場合 : 各処理の光照射は5分とする。

C.NucleoSpin Tissue XSを用いたDNA抽出

  1. B.-8. で加熱殺菌(不活化処理)を終えたサンプル全量(55~65 μl)に、それぞれ20 mg/ml lysozyme in 20 mM Tris-HCl, 2 mM EDTA, 1% Triton X-100 (pH8.0)*1 を160 μl加える。軽く混合して、スピンダウンし、37℃で30~60分インキュベートする。
  2. Proteinase K*216 μlを添加し、56℃で1~3時間(または一晩)完全に溶解するまでインキュベートする。
  3. スピンダウンしたサンプルにBuffer B3を160 μl加える。ボルテックスにて混合(5秒×2)して、スピンダウンする。
  4. 70℃、5分間インキュベートし、ボルテックスする。
  5. 各サンプルが室温に戻ったことを確認して、スピンダウンしたサンプルにエタノール(96~100%)を160 μl加え、ボルテックスにて混合(5秒×2)して、軽くスピンダウンする。
  6. NucleoSpin Tissue XS ColumnをCollection Tube(2 ml)にセットする。
  7. 6. の溶液をカラムに添加し、11,000×g、1分間遠心する。
  8. カラムを新しいCollection Tube(2 ml)にセットする。
  9. カラムにBuffer B5*3を50 μl添加し、11,000×g、1分間遠心する。
    ろ液を捨てた後、同じCollection Tubeにカラムをセットする。
  10. カラムにBuffer B5*3を50 μl添加し、11,000×g、2分間遠心する。
    カラム上に液が残っていないことを確認する。
  11. カラムを1.5 ml マイクロチューブにセットする。
  12. カラムにBuffer BEを20 μl添加し、11,000×g、1分間遠心し、DNA溶液を回収する。
  13. 得られたDNA 溶液の液量がおおよそ20 μlであることを確認する。
    *1NucleoSpin Tissueに含まれないため、別途用意する。
    *2 Proteinase K製品コード 740901.50(50 回用)の場合:
    Proteinase K(凍結乾燥品)20 mg(1 vial)に、Proteinase Buffer 1 mlを加え溶解する。溶解後のProteinase K溶液は-20℃で保存する。
    *3 Buffer B5Wash Buffer B5 (concentrate) 2 mlあたり、8 mlのエタノールを加える。

D.リアルタイムPCRまたはエンドポイントPCRによる検出

C-13で調製したEMA処理あり及びEMA処理なしのDNA溶液を用いて、リアルタイムPCRまたはエンドポイントPCRにより、対象細菌のターゲット遺伝子の検出を行う。
また、EMA処理ありサンプルについては、Control Test Kit (Viable Bacteria Selection) (製品コード CY290)を用いて、本キットの試薬中に含まれる反応確認用プラスミドDNAが、EMA処理操作後、qPCR/PCRで検出されないことを確認することにより、本キットによるEMA処理操作が正しく行われたことを確認する。

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