AAV qPCR(リアルタイムPCR)迅速タイタ―測定キット
AAV2ベクターを用いたマウス脳線条体への遺伝子導入
方法
- AAV2-ZsGreen1の調製
- AAVpro Helper Free System (AAV2)(製品コード 6230)に含まれるpRC2-mi342とpHelper、およびpAAV-ZsGreen1 (製品コード 6231)を用い、AAVpro Helper Free System (AAV2)の標準プロトコールに従って、AAV2-ZsGreen1ウイルスベクターの調製を行った。
- 前日に播種した293T細胞 (T-225 フラスコ、10本) にリン酸カルシウム法でプラスミドを導入した。
- プラスミド導入から6時間後に2% FBSを含むDMEM培地に全量交換した。(40 ml/T-225フラスコ)
- プラスミド導入から48時間後にフラスコあたり0.5 mlの0.5 M EDTA(pH8.0)を添加し、10分間処理後、細胞を剥離させた。
- AAV2-ZsGreen1ウイルスの抽出、精製
- AAVpro Purification Kit (AAV2)(製品コード 6232)を使用し、標準プロトコールに従い、AAV2-ZsGreen1ウイルスベクターの精製を行った。
- 遠心回収した細胞ペレットをタッピングで十分にほぐし、10 mlのAAV Extraction Solution Aを添加した。
- ボルテックスし、完全に細胞懸濁後、5分間静置した。
- 再度ボルテックスした後に遠心し、上清を回収後にAAV Extraction Solution Bを1 ml添加した。
- SD solutionを1 ml添加し、30分間、37℃で反応させ、遠心後、上清を精製前のAAV2-ZsGreen1ウイルス溶液とした。
- Prepacked Columnをセットし、10 mlのEquilibration Bufferでカラムの平衡化を行った後に、7.で得られたAAV2-ZsGreen1溶液をカラムに添加した。
- 10 mlのWashing Bufferでカラムの洗浄し、3 mlのElution BufferでAAV2-ZsGreen1ウイルス溶液を溶出した。
- 溶出したAAV2-ZsGreen1溶液をキット付属のFilter DeviceとCollection Tubeを用いて、濃縮、脱塩し、最終的に約500 μlの精製AAV2-ZsGreen1ウイルスベクターを得た。
- AAV2-ZsGreen1ウイルスのタイター測定
- AAVpro Titration Kit (for Real Time PCR)(製品コード 6233)を使用し、標準プロトコールに従い得られたAAV2-ZsGreen1ウイルスのゲノムタイターを測定した。最終的に2.4×1012 vgの精製AAV2-ZsGreen1を得たことを確認した。
- AAV2-ZsGreen1ウイルスベクターのマウス脳線条体への投与
- AAV2-ZsGreen1ウイルスをPBSで1.86×1012 vg/mlに希釈し、5 μl/pointで左右それぞれのマウス脳線条体へ定位脳手術的に投与した。
- 27日後に麻酔下で固定液(4% パラホルムアルデヒドを含む溶液)により灌流固定後、脳を摘出し、さらに4時間固定液に浸漬した。
- 凍結後、冠状で薄切し、切片を作製した。
結果
ZsGreen1の発現を蛍光顕微鏡により観察したところ、線条体全体にわたって強い緑色蛍光が確認できた(図A:脳の冠状断の片側部分を示す)。また、軸索に沿ってベクターが淡蒼球に到達し、淡蒼球の神経細胞においてZsGreen1が発現している様子が確認できた(図B:図Aの四角で囲った部分の強拡大)。
図A | 図B |
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Bar=1 mm | Bar=30 μm |
データご提供:自治医科大学 神経内科学 村松 慎一先生
AAV qPCR(リアルタイムPCR)迅速タイタ―測定キット