本キットではヘアピン型RNAを発現させるための合成オリゴDNAのクローニングに、
In-Fusion HD Cloning Kit(製品コード 639648など)の使用を推奨する。
ヘアピン型RNAを発現させるためには、[末端相同配列(15塩基)-標的配列(センス)-ループ配列-標的配列(アンチセンス)-ターミネーター配列-末端相同配列(15塩基)]の順でデザインした二本鎖合成DNAを用意し、In-Fusion反応でプロモーターの下流に挿入する。
挿入配列として、下図に示すような合成オリゴDNAを作製する(Top strand とBottom strand の2本;N部分が標的配列)。pol III系プロモーターの転写開始点はプリン塩基(GまたはA)が好ましいため、標的配列がGまたはAで始まらない場合は標的配列の前にGまたはAを挿入する。
Xba I-
Spe IサイトにはshRNA oligo DNA-1を、
Sal I-
Xho IサイトにはshRNA oligo DNA-2を挿入する。
ここではループ配列の例としてCTGTGAAGCCACAGATGGG(Boden
et al.
1))を挙げているが、GTGTGCTGTCC(Miyagishi
et al.
2))も有用であることが確認されている。これ以外のヘアピンループとして、Lee
et al.
3)、Paddison
et al.
4)、Paul
et al.
5)、Sui
et al.
6)らによってそれぞれ異なった配列が報告されている。
1つのベクターに2つのshRNA発現ユニットを搭載する場合には、ベクター内での組換えのリスクを軽減する目的で2つのshRNAに別々のループを使用することを推奨する。
ターミネーター配列にはTTTTTT配列を用いる(Tが4つ続くとpol III系プロモーターによる転写が止まる)。siRNA配列と用いるヘアピンループ配列の組み合わせによってはTが4つ以上続く可能性があるため、合成DNAをデザインした後には必ず、Top strandにTが4つ以上続いていないことを確認することが必要である。
注:クローニングの手順については説明書をご確認ください。
In-Fusion反応用 合成DNA配列
shRNA oligo DNA-1(Xba I-Spe Iサイト)
<末端相同配列―標的配列(センス)-ループ配列-標的配列(アンチセンス)-ターミネーター配列―末端相同配列>
shRNA oligo DNA-2(Sal I-Xho Iサイト)
<末端相同配列―標的配列(センス)-ループ配列-標的配列(アンチセンス)-ターミネーター配列―末端相同配列>
*ターゲット配列の最初の塩基がGまたはAでない場合はターゲット配列の前にGまたはAを挿入すること。
[シーケンス用プライマー]
shRNA oligo DNA-1配列確認用プライマー5’-AAGCTTGAATTCGATCCGACG-3’
shRNA oligo DNA-2配列確認用プライマー5’-GAATTCAAGCTTAAGGTCGGG-3’
注: | ベクター上のStuffer sequenceを挟む制限酵素サイトを利用して、ライゲーションにより合成オリゴDNAをクローニングすることも可能です。
その場合の合成オリゴDNAのデザイン等は、取扱説明書を参照してください。 |