SMART-Seq® v4 Ultra® Low Input RNA Kit for Sequencing

【ユーザー様実施例】SMART-Seq® v4におけるBuffer RLT(キアゲン社)を使用した免疫系細胞の溶解プロトコール

注)本プロトコールは大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学 大倉先生のグループで用いられているプロトコールを元に記載しております。また、大倉先生のグループが参考にされたBuffer RLTとビーズを用いたRNAの精製は、国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター バイオインフォマティクス研究開発ユニット(Laboratory for Bioinformatics Research, BiT)のウェブサイトに掲載されているものに基づいています。
Whole-transcript amplification for cell-population Quartz-Seq (Purified RNA Version)

●はじめにBuffer RLT 1 mlに2-ME 10 μlを添加したBuffer RLT溶液を準備

【1,000細胞以上の場合】

  • 500 μlのFACS Buffer (1% FBS) を1.5 mlチューブに添加(96ウェルプレートの場合、30 μl/ウェル)
  • セルソーターで細胞をソーティング
  • 遠心後、細胞を吸わないように上清を除去(10 μl程度上清を残す。アスピレーターは使用せず、ピペットマンで慎重に除去)
  • セルソーターのセルカウントに応じて、1,000 cells/10 μlとなるようにBuffer RLTを添加。但し、1,000 cells/10 μlより薄くなる場合でも、Buffer RLT溶液は最低30 μl添加。Buffer RLT溶液を添加後、1分以上ボルテックスして細胞を溶解
  • -80℃にて凍結
  • 氷上で融解後、細胞溶解液10 μlを0.2 mlチューブに移し、20 μl(2×vol.)のAgencourt RNAClean XP(ベックマン・コールター社)を添加後ピペッティング。但し、1,000 cells/10 μlより薄い場合、細胞溶解液20 μl、Agencourt RNAClean XPを40 μl(2×vol.)使用。
  • 氷上で15分間放置
  • マグネットスタンドを使用してビーズを凝集(5分以上または溶液が透明になるまで)
  • 上清を除き、200 μlの80% EtOHを添加し30秒放置
  • 上記洗浄操作を再度実施(計2回)
  • 上清を除いた後、マグネットスタンドからチューブを外しスピンダウン
  • EtOHをチューブの底に集め、P10のピペットマンで、可能な限りEtOHを除去(作業は手早く行い、ビーズは乾燥させない)
  • 10.5 μlのNuclease Free Waterを添加し、ピペッティングでビーズを懸濁し2分間室温で放置
  • チューブをマグネットスタンドに設置し、溶液が透明になるまで放置(1分程度)
  • 上清を回収し精製RNAを取得
  • SMART-Seq v4のプロトコールに従いcDNA合成
       注1)大倉先生のグループは10×Reaction Bufferは使用せず
       注2)PCRサイクル数は1,000細胞のマウスT細胞で11を採用

【シングルセルの場合】

  • 10 μlのBuffer RLT溶液を96ウェルプレートの各ウェルに添加
  • セルソーターで細胞をソーティング
  • 1分以上ボルテックスして細胞を溶解。(プレート全体が均一にボルテックスされるよう、位置を動かしながら)
  • -80℃にて凍結
  • 氷上で融解後、20 μl(2×vol.)のAgencourt RNAClean XP(ベックマン・コールター社)を添加後ピペッティング
  • 氷上で15分間放置
  • マグネットスタンドを使用してビーズを凝集(5分以上または溶液が透明になるまで)
  • 上清を除き、200 μlの80% EtOHを添加し30秒放置
  • 上記洗浄操作を再度実施(計2回)
  • 上清を除いた後、マグネットスタンドからプレートを外しスピンダウン
  • EtOHをチューブの底に集め、マルチチャンネルのアスピレーターで残ったEtOHを除去(作業は手早く行い、ビーズは乾燥させない)
  • 10.5 μlのNuclease Free Waterを添加し、プレートミキサーで2分間振盪(室温)
  • プレートをマグネットスタンドに設置し、溶液が透明になるまで放置(1分程度)
  • 上清を回収し精製RNAを取得
  • SMART-Seq v4のプロトコールに従いcDNA合成
       注3)大倉先生のグループは10×Reaction Bufferは使用せず
       注4)PCRサイクル数は1細胞のマウスT細胞で19を採用
大倉先生のグループでは3 μlの溶出に成功されている。ビーズが凝集している側の上方の壁面に溶出Buffer(3' SMART-Seq CDS Primer II+Nuclease Free Water)を添加後、プレートをトントンと実験台で揺すり、溶液とビーズを底に集める。プレートによる多検体処理時は、ピペッティングが難しいためプレートミキサーを使用する。

推奨機器

○マグネットスタンド
品番:FG-SSMAG96SLV、品名:NGS MagnaStand (YS-Model) V2 微量対応モデル(日本ジェネティクス)
品番:FG-SSMAG2、 品名:NGS MagnaStand (YS-Model) 8Ch×0.2ml PCRチューブ用(日本ジェネティクス)

強力な磁力により短時間でビーズが集まる。磁石の位置的にビーズを片側、底の方に集めることができる。EtOH Wash後の遠心で底に集めたEtOHにビーズが浸かっているので、プレートを半分ずつ処理すればビーズが乾くリスクを減らせる。

○アスピレーター
96ウェルプレートを処理する場合、80% EtOH除去に使用。コンタミを防ぐため、流水ではなく卓上における電動のもの。大倉先生のグループではバキュボーイを使用。特にハンドオペレータがあれば、溶液の逆流を防げる。

○マルチチャンネルピペットマン
チップとピペットマンの相性が良く、しっかりはまるものを使うこと。チップのはまりが緩いと、1本ずつはまりの確認している間にビーズが乾燥してしまい、データにばらつきが出る。大倉先生のグループではレイニンのLTSシリーズを使用。80% EtOH除去後の溶出時は12連のマルチチャンネルピペットを使用すると、8連よりも作業回数が減らせるので、ビーズ乾燥のリスクを減らせる。

○卓上プレート遠心機
プレートのスピンダウンに使用。大倉先生のグループではワンタッチで遠心、停止が短時間で可能なマイクロプレート用小型低速遠心機(TOMY、PS-020)を使用。

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