●方法
実施例1で10~12 kb付近の増幅バンドが確認できた3つの酵素のサンプルについて、Native Barcoding Kit 96 V14(Oxford Nanopore Technologies)を用いてNGSライブラリーを作製し、GridION (Oxford Nanopore Technologies)、R10.4.1 flow cells (Oxford Nanopore Technologies) を用たNGS解析を行いました。
ロングリードNGSから得られた塩基配列はリード数を揃えて解析を行いました。また、本実験ではプライマー濃度の最適化を行わず、等モル混合したプライマーセットを使用しています。
●結果
図3.各酵素によるOn-Target率
得られたシーケンスリードから、各酵素によるOn-Target率を算出しました。PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseの増幅産物は、On-Target率99%以上を示し、長鎖マルチプレックスPCRにおいて特異性の高い増幅ができていることが示唆されました。
図4.20ターゲットのデプスの均一性確認
マルチプレックスPCRでは各PCRターゲットの増幅効率の違いが課題となります。各PCR酵素の増幅産物中に、20ターゲットの配列が含まれているかを確認しました。PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseを用いることでより均一な増幅を得ることができました。他社PCR酵素では複数のターゲットでまったくデプスが得られていない、もしくは極端に少ないデプスが得られたのに対し、PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseではよりバイアスの少ない均一なデプスを得ることができました。
増幅が困難な領域についてはシーケンス量を増やしても改善は難しく、シーケンスコストが増大します。PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseを用いることでマルチプレックス反応PCRの最適化作業を軽減でき、より少ないシーケンス量での解析可能となることが期待できます。
(A)
(B)
図5.ターゲット領域全長の増幅確認
各酵素によるマルチプレックスPCR増幅産物中に、20ターゲットの配列が全長含まれているかをIntegrative Genomics Viewer(IGV)を用いて確認しました。PrimeSTAR LongSeq DNA Polymeraseは20ターゲットすべてで全長増幅ができましたが、他社のPCR酵素では一部領域が欠落し、68~78%のターゲットでしか全長配列を取得できませんでした。
※Target Lのリードが得られていない領域は、検証に使用したヒトゲノムDNAに存在する既知の大きな欠失領域(976 bp)に該当します。