牛呼吸器病症候群(BRDC)関連薬剤耐性遺伝子検出キット

薬剤耐性遺伝子を保有する菌株ゲノムDNAを用いた反応性確認

【対象製品】
BRDC AMR Gene Direct Detection qPCR Kit(製品コード RC240A:以下、本製品)

【概要】
薬剤耐性遺伝子を保有するパスツレラ科細菌の菌株2種からゲノムDNAを精製し、これを鋳型として用いることで本製品の検出対象遺伝子に対する反応性を確認した。反応はN=2で実施した。

検出系(1)
少なくとも3種類の薬剤耐性遺伝子 (aphA1strAblaROB-1) を保有するHistophilus somni菌株から回収したゲノムDNAを用いて6段階の希釈系列を作成し、鋳型として1反応あたり0.01~1,000 pgとなるよう添加して反応を実施した。

検出対象遺伝子
  • aphA1遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子:以下、aphA1
  • strA遺伝子(ストレプトマイシン耐性遺伝子:以下、strA
  • blaROB-1遺伝子(アンピシリン・アモキシシリン耐性遺伝子:以下、blaROB-1

検出系(2)
少なくとも3種類の薬剤耐性遺伝子(floRcatA3tetH)を保有するHistophilus somni菌株から回収したゲノムDNAを用いて6段階の希釈系列を作成し、鋳型として1反応あたり0.01~1,000 pgとなるよう添加して反応を実施した。また、インターナルコントロールとして、同様に牛ゲノムDNAを1反応あたり0.01~1,000 pgとなるよう添加した。

検出対象遺伝子
  • floR遺伝子(フロルフェニコール耐性遺伝子:以下、floR
  • catA3遺伝子(チアンフェニコール耐性遺伝子:以下、catA3
  • tetH遺伝子(テトラサイクリン・オキシテトラサイクリン耐性遺伝子:以下、tetH
  • RPPH1遺伝子(インターナルコントロール (IC))

【結果】
検出系(1)および(2)の両検出系において、ゲノムDNAを供試した全ての反応で薬剤耐性遺伝子が検出された。インターナルコントロール(IC)として使用している牛RPPH1遺伝子は、鋳型として10 pg以上添加した場合に検出が確認された(検出系(2))。

<検出系(1)における反応結果>
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検出系(1)における反応結果


<検出系(2)における反応結果>
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検出系(2)における反応結果


【考察】
今回の試験結果から、本製品では、複数の薬剤耐性遺伝子が混在する検体を用いた場合においても、安定して薬剤耐性遺伝子の検出が可能であることが示唆された。また、牛ゲノムDNAを検出するICは、1 pg/反応以下の低濃度鋳型を添加した場合に不検出となったが、疑似陽性検体(陰性牛鼻腔スワブ懸濁液への生菌スパイク検体)を用いた反応性確認試験においては、いずれの検体を供試した場合でも明瞭に検出された。従って、ICの検出系は実用上問題ない検出感度を有するものと推測される。

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