核酸抽出

FFPEサンプルからのDNA抽出方法(NucleoSpin® DNA FFPE XS、Paraffin Dissolverを用いる場合)

NucleoSpin DNA FFPE XS(製品コード 740980.10、740980.50、740980.250)

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試薬の準備
  Proteinase K溶液*1,Wash Buffer B5*2が添付の英文説明書に従って調製、希釈されていることを確認する。
サンプルの準備
 ホルマリン固定パラフィン包埋切片*3を用意し、1.5 mlマイクロチューブ(各自で用意)に入れる。
1. 脱パラフィン処理
Paraffin Dissolver 400 μlを添加し、60℃で3分間保温する。
すぐにvortexで激しく撹拌し、パラフィンを完全に溶解する。
室温に戻るまで、放置する。
2. サンプルの溶解
Buffer FL 100 μlを添加し、vortexで激しく撹拌する。
11,000×g、1分間遠心する*4
  Proteinase K溶液*1 10 μlを直接下層(水層)に添加し、ピペッティングにより混合する(下層のみをピペッティングし、上層と下層が混じらないように注意する)。
室温で3時間静置して、サンプルを溶解する*5
vortexで5秒間撹拌する。
3. 脱クロスリンク
Decrosslink Buffer D-Link 100 μlを添加し、vortexで緩やかに撹拌して、Buffer D-Linkと下層(水層)を混合する。
11,000×g、30秒間遠心する。

90℃で正確に30分間保温する。
vortexで5秒間撹拌した後、室温になるまで放置する(約2分間)
蓋に水滴がついている場合は、スピンダウン(1,000×g、1秒間程度)を行う。
4. エタノールの添加
96~100%エタノール200 μlを添加し、vortexで5秒間×2回混合する。
軽くスピンダウン(1,000×g、1秒間程度)して*6、界面をクリアにする。
5. カラムへの吸着
NucleoSpin FFPE DNA Column(緑色のリング)をCollection Tube(2 ml)にセットする。ピペットで4の下層(水層)を全て吸い上げ*7、カラムに添加する。
2,000×g、30秒間遠心する。
カラムに液が残っている場合は、続いて11,000×g、30秒間遠心する。
カラムを新しいCollection Tube(2 ml)にセットする。
6. メンブレンの洗浄
1回目の洗浄
Buffer B5*2 400 μlをカラムに添加し、11,000×gで30秒間遠心する。
カラムを新しいCollection Tube(2 ml)にセットする。
2回目の洗浄
Buffer B5*2 400 μlをカラムに添加し、11,000×gで2分間遠心してメンブレンを乾燥させる。
カラムを新しいマイクロチューブ(各自で用意)にセットする。
7. DNAの溶出
Buffer BE 20 μlを直接カラムのメンブレンに加える。
11,000×gで30秒間遠心する。
8. エタノールの蒸発
(オプション)
  溶出液に残存しているエタノールを蒸発させるため、マイクロチューブの蓋をあけて90℃で8分間*8保温する。
*1Proteinase K溶液
製品コード 740980.10(10回用)の場合:Proteinase K(凍結乾燥品)1 vialにProteinase Buffer PB 260 μlを加えて溶解する。調製したProteinase K溶液は-20℃で6ヵ月間安定である。
*2 Buffer B5
Wash Buffer B5(concentrate)に、4倍量のエタノール(96~100%)を添加する。調製後のWash Buffer B5は室温で1年間安定である。
*3 1回の精製に使用するサンプル量は、パラフィンとして15 mg(約17 μl)、組織重量として5 mgまでが望ましい。
250 cm2、10 μm厚のホルマリン固定パラフィン切片の場合は7枚まで使用できる。
20 mm×25 mm、10 μm厚の切片(組織含量が少ない場合)は、3枚分でパラフィン約15 mgに相当する。
20 mm×25 mm、10 μm厚の切片(ほぼ全面が組織の場合)は、1枚で組織5 mgに相当する。
*4 遠心によってサンプル液は下層(水層)と上層(有機層)の二層に分離し、組織成分は下層(水層)に移行する。ここで上層(有機層)を除いてもよい(オプション)。
*5 溶解していないサンプルが残っている場合は、Proteinase K溶液10 μlを追加し、さらに3時間~1晩静置する。
(ここで操作を中断することが可能である。その場合は反応液を-20℃で保存する)。
*6 強く遠心するとDNAが沈殿する可能性があるので注意する。
*7 ピペットで450 μl程度を吸い上げ下層の液を全て回収する(通常、下層は約410 μl)。少量の上層(有機層)の混入は以降のステップに影響を与えない。
*8 90℃、8分間保温すると20 μlの溶出液量は12~14 μlに減少する。多くの液量が必要な場合は、溶出液量を増やすとよい。また、90℃、8分間保温でDNAは変性し1本鎖になるため、クローニングなどの用途に使用する場合は、保温温度を80℃以下にする必要がある。例えば75℃で15分間保温にする。詳細は英文説明書参照のこと。


<注意>
使用時には、詳細は必ず添付の英文説明書をご確認ください。

*1 は、製品コード 740980.10(10回用)の場合の調製法である。
製品コード 740980.50(50回用),740980.250(250回用)の場合の調製法は英文説明書を参照すること。