SARS-CoV-2 Detection RT-qPCR Kit for Wastewater

実験例1:下水由来RNA抽出液存在下における検出感度と定量性

下水由来RNA抽出液存在下におけるSARS-CoV-2 Detection RT-qPCR Kit for Wastewater(製品コード RC390A)の検出感度および定量性を確認した。

まず、下水(流入下水)をPEG沈殿法により濃縮後、RNA精製により下水由来RNA抽出液を得た。次に、Positive Control DNA (SARS-CoV-2)の希釈系列(1.0×10~1.0×104 copies/reaction)に、下水由来RNA抽出液5 μlを添加した場合と添加しない場合を比較し、下水由来RNA抽出液の存在による検出感度への影響を評価した。
リアルタイムPCR装置にはThermal Cycler Dice Real Time System III (Cy5) with PC(製品コード TP990)を使用した。
蛍光強度とPCRサイクル数のグラフとCt値と遺伝子コピー数のグラフ
下水由来RNA抽出液を添加した場合でも、Positive Control DNA (SARS-CoV-2)の増幅には阻害は見られず、1.0×10~1.0×104 copiesの範囲内で高い定量性が得られ(左図)、遺伝子コピー数とCt値が閾値(左図の赤色の横線)を超えるPCRサイクル数との間に強い相関が認められた(右図)。


参考情報:PEG沈殿法
上記の実験例において使用したPEG沈殿法を一例として以下に示す。従来法の4℃での一晩の振とうおよびその後の遠心の工程を、手順2~5にて代用することにより作業時間を短縮した。

  1. 40 mlの下水検体にPEG8000およびNaClをそれぞれ終濃度10%、0.4 mol/Lとなるように添加し、混合する。
  2. 12,000×g, 100分, 4℃の条件で遠心する。
  3. 上清を除去する。
  4. 12,000×g, 5分, 4℃の条件で遠心する。
  5. 上清を除去する。
  6. 800 μlの滅菌水で沈殿物を懸濁する。

※本手順およびデータは、弊社との共同研究を通じて、国立大学法人山梨大学国際流域環境研究センター 原本英司教授よりご提供いただきました。

公益社団法人日本水環境学会 COVID-19タスクフォース発行「下水中の新型コロナウイルス遺伝子検出マニュアル」(2021年3月)

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