Clontech PCR-Select Bacterial Genome Subtraction Kitによって、細菌ゲノムを効率よく比較することができる。わずか数日間で、一方の細菌株のみに存在するゲノム配列のサブトラクション済みライブラリーが得られる。本キットを利用すれば、病原性に関わる遺伝子領域の同定や、2種類の細菌株間で異なるゲノムDNAの同定を行うことができる(図1)。
Clontech PCR-Selectでは、1連のサブトラクションハイブリダイゼーションと選択的増幅によってサブトラクションが行われるので、一本鎖DNAの物理的分離は不要である(1~4)。本キットに必要な細菌ゲノムDNAサンプルはわずか2 μgで、所要時間は2~3日間程度である。本キットはハイスループットなサンプル処理に最適である。
Clontech PCR-Select Bacterial Genome Subtraction KitにはPCR酵素が含まれていないので、別途用意する必要がある。ClontechではAdvantage 2 Polymerase Mix(製品コード 639201)の使用を推奨している。
図1. 類縁関係にないH. pylori株間での遺伝子含量の差
2株の類縁関係にないH. pyloriを用いて、PCR-Selectによるサブトラクションを行った。テスターにJ166株を用い、ドライバーには26695株を用いた。PCR増幅を行った後に、1.5%アガロースゲルを用いてサブトラクション前のテスター(レーン1)およびドライバー(レーン2)の電気泳動を行い、ナイロンフィルターに転写した。サブトラクション済みライブラリー由来のクローンを無作為に選んでフィルターとハイブリダイズを行った(パネルA~D)。20クローンの解析を行ったところ、10クローンがテスターのみとハイブリダイズしたクローン(例、パネルA, B)、あるいはテスターの方が高いハイブリダイゼーション効率を示したクローン(例、パネルC)であった。