SMART cDNA Library Construction Kitは完全長cDNAをλTriplEx2ファージベクターにクローニングしてライブラリーを構築するためのキットである。SMART(Switching Mechanism At 5’end of RNA Template)法を利用したcDNA合成とアダプター不要のデレクショナルクローニングを組み合わせている。本キットには2種類のプロトコールが用意されており、出発材料に応じて選択できる。
第1のプロトコールはPCRに基づく方法(LD-PCR)で、出発材料が限られる場合に用い、わずか50 ngのtotal RNAからスタートできる(1)。十分量の出発材料(例えば、1 μgあるいはそれ以上のpoly A
+ RNA)を用意できる場合には、プライマー伸長法による第2のプロトコールをお勧めする。両プロトコールでは、独自のSMART IV Oligonucleotideを用いた1st strand cDNA合成を行い、効率よく完全長二本鎖cDNAを生成する。マニュアルには両プロトコールが示されているので、必要に応じて選択する。
SMARTライブラリーには、従来法や他の完全長cDNA合成法より高い割合で完全長クローンが含まれており、SMART cDNA ライブラリーから単離されたクローンにはmRNAの完全な5’UTRにあたる配列が含まれている(2)。
また、SMART cDNA Library Construction Kitとともに使用できるプラスミドベクター(哺乳類発現用ベクター pEXP-Lib、レトロウイルス発現ベクター pRetro-Lib)を個別に販売している。
[ご注意]
※本キットの使用には、別途、PCR用酵素とλパッケージングキットが必要です。
≪PCR酵素≫
添付のユーザーマニュアルでは、Advantage 2 PCR Kit(別売:製品コード 639206、639207)を用いたプロトコールを紹介しています。
≪λパッケージングキット≫
少なくとも1×10
9 pfu/μg DNAの効率が得られるキットをご用意ください。
なお、2009年4月出荷分より、本製品は逆転写酵素としてSMARTScribe RTaseを含む製品形態に変更になりました。Clontechでは、本逆転写酵素を用いて良好なパフォーマンスが得られることを確認しております。また、製品形態の変更にともないタカラバイオのPrimeScript Reverse Transcriptaseの無償添付キャンペーンは終了いたしました。
図1. SMARTライブラリー構築技術と従来法の比較