xTractor Bufferは、細菌、酵母、哺乳細胞、バキュロウイルスに感染した細胞からタンパク質を抽出するための、効率的な細胞溶解バッファーである。本製品は穏やかな非変性条件で、迅速(10分)かつ効率的に細胞等を溶解する。Hisタグ融合タンパク質の抽出に最適化されているため、すべての固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)レジンと互換性がある。
抽出法は簡単である。細胞ペレットをバッファーに再懸濁し(1:20 w/v)、10分間穏やかに混合するだけである(図1)。インキュベーション後には細胞断片や沈殿物が認められないライセートが得られる。抽出後はライセートを遠心または濾過するだけで、アフィニティーレジンカラムにアプライして目的のHisタグ融合タンパク質を分離できる。遠心や濾過を行わず、得られたライセートをTALON CellThru Columnに直接アプライすることで実験時間を短縮することも可能である(図1 パネルB)。
図1. xTractor Bufferによる簡便なHisタグ融合タンパク質の抽出
パネルA:抽出後は、遠心または濾過を行い標準的なTALON Resin Columnでの精製に使用
パネルB:抽出後そのままTALON CellThruにアプライして目的タンパク質を精製
この抽出法は大腸菌細胞からタンパク質を抽出する極めて効率的な方法であり、高純度で高収量のタンパク質が得られる。超音波法と比較して、xTractor Buffer抽出法では同量のサンプルからより多くのタンパク質を得ることができる。さらに、得られたタンパク質は、超音波法で得られたタンパク質より高い生理活性を示す。本法はβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)など、膜を完全に破壊しないと抽出できない高分子量タンパク質に対して特に効果を発揮する。
xTractor Buffer Kitには、大腸菌ペレット10 gまたはHT 96-Well Plate全体からの小規模抽出に十分量の200 mlのxTractor Bufferと、リゾチームおよびDNase Iが含まれている。