製品説明
Phosphoprotein Enrichment Kitは、哺乳類の細胞や組織から親和性に基づいてリン酸化タンパク質を効率よく単離するための製品である。セリン、チロシンまたはスレオニンなどアミノ酸を問わず、細胞質性と膜結合性のリン酸化タンパク質を濃縮する。
本キットのプロトコールに従うと、細胞から濃縮したリン酸化タンパク質を得るまでの平均所要時間は2時間以下と短時間である。図1に示すように操作は容易である。細胞または組織のペレットにExtraction/Loading Bufferを加えて全細胞タンパク質を抽出し、抽出物をアフィニティーカラムにかけて洗浄し、最後に界面活性剤を含まないElution Bufferを用いて結合したリン酸化タンパク質を溶出する。1種類のバッファー(Extraction/Loading Buffer)をタンパク質抽出とアフィニティーカラムへのアプライの両段階に使用するため、バッファー交換は不要である。これにより操作時間を短縮し、サンプルの損失を防ぐ。各カラムはリン酸化タンパク質として最高約4 mgの結合能を備えている。非変性条件下で操作を行うため、抽出段階と溶出段階を含め全過程を通してリン酸化タンパク質の折り畳み構造が維持される。
図1. リン酸化タンパク質濃縮法の概要
Extraction/Loading Bufferには細胞タンパク質を非変性条件で効果的に抽出するための穏和な非イオン性界面活性剤が含まれている。 極めて選択的なリン酸化タンパク質の濃縮
Phosphoprotein Enrichment Kitはあらゆる種類の哺乳類細胞で使用可能である。これまでにNIH3T3、HEK293、HeLa、Cos-7、Jurkat細胞で良好な結果を確認している。ウェスタンブロット解析が示すように、この濃縮法は極めて効率的である(図2)。比色リン酸検出法を用いて検出を行ったところ、リン酸化タンパク質の大部分が溶出画分に存在し、洗浄画分で検出されるのは無視できる程度であることが明らかになった。本キットを用いて取得したリン酸化タンパク質濃縮溶液は、質量分析法や二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)のほか、Clontech Antibody Microarrayなどで解析することもできる。
図2. 極めて効果的なリン酸化タンパク質の濃縮
HEK 293細胞由来の全タンパク質約3 mgをPhosphoprotein Affinity Columnにかけ、リン酸化タンパク質の濃縮を行った。その後、リン酸化タンパク質AKT(パネルA)、PTEN(パネルB)、GSK3β(パネルC)に特異的な抗体を用いて、抽出物(レーン1)、素通り画分(レーン2)、洗浄画分(レーン3)、溶出画分(レーン4)をウェスタンブロットにより解析した。いずれの画分も希釈や濃縮を行うことなく電気泳動ゲルにアプライした。
ウェスタンブロットの結果、リン酸化タンパク質は溶出画分で明瞭に検出された。
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新たにリン酸化タンパク質の解析をご検討中の場合には、1 mlカラム×1本(Buffer A, B添付)でご購入いただけるお試しサイズのPhosphoprotein Enrichment Starter Kit(製品コード 635666)もご用意しています。 |
内容
Phosphoprotein Enrichment Kit
(製品コード 635624)
・Phosphoprotein Affinity Columns (1 ml×6, disposable)
・Buffer A (Extraction/Loading Buffer)
・Buffer B (Elution Buffer)
保存
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