TALON PMAC Magnetic Phospho Enrichment Kitは、TALON樹脂技術をベースとしたPhosphoprotein Enrichment Kitのリン酸化タンパク質への特異的親和性と磁気ビーズによる分離の利便性を組み合わせることで、哺乳類細胞または組織からマイクログラム量のリン酸化タンパク質を単離する簡単かつ迅速な精製方法を実現した(1~4)。磁気セパレータ上で、ビーズの磁気粒子がリン酸化タンパク質をマイクロスケールで迅速かつ簡単に精製する。
リン酸化細胞質タンパク質およびリン酸化膜結合タンパク質の単離
キットにはPhospho Magnetic Beadsと必要なバッファーが含まれており、セリン、チロシンまたはスレオニンのリン酸化アミノ酸側鎖を持つ、細胞質性および膜結合性のあらゆる種類のリン酸化タンパク質を特異的に濃縮する。
Extraction/Loading Bufferには細胞からタンパク質を抽出するための非イオン性界面活性剤が含まれている。Wash BufferおよびElution Bufferは界面活性剤を含まない。目的によっては次のステップでの使用に最も適したpH9.0のバッファー中にリン酸化タンパク質を溶出することも可能である。
小溶出容量でのマイクロスケール精製/濃縮
Phospho Magnetic Beadsは5%懸濁液として提供されており、懸濁液1 ml当たりα-カゼイン400 μgの結合能が実証されている。最初の試料濃度に応じて、様々な量のビーズを使用できる。また、小容量(50~200 μl)で溶出できるため、効率よくリン酸化タンパク質の濃縮試料が得られる。細胞性タンパク質の中でリン酸化されているのはわずかな一部のみであるため、解析のためには効率的な濃縮が必要である。図1のウェスタンブロッティング結果が示す通り、本キットを用いる濃縮法は極めて効率的である(図1)。
本キットは哺乳類のあらゆる細胞や組織試料に使用が可能である。リン酸化タンパク質の収量は細胞株によって異なる。
図1. TALON PMAC Magnetic Phospho Enrichment Kitを用いた極めて効率的なリン酸化タンパク質の濃縮
HEK 293細胞からプロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤(10 mM フッ化ナトリウム)を含むExtraction/Loading Buffer中に抽出したタンパク質を、Phospho Magnetic Beadsの5%懸濁液200 μlと共に室温で30分間振盪し、洗浄後、溶出した。続いて、ウェスタンブロッティングにより、リン酸化AKT(Ser 473:パネルA)、リン酸化AKT(Thr 308:パネルB)、リン酸化PTN(Ser 380:パネルC)、およびリン酸化GSK3β(Ser 9:パネルD)に特異的な抗体を用いて、抽出液(レーン1)、素通り画分(レーン2)、および溶出画分(レーン3)を分析した。(パネルDの51 kDaのバンドは抗体とP-GSK3aとの交差反応によるものです。)