製品説明
MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) は、ヒトiPS細胞から誘導した高純度心筋細胞であり、心筋細胞の性状・機能解析などに使用可能である。また、心筋細胞の生理機能の解析だけでなく、MEA(Multi-electrode array)システム等を用いた種々の薬剤による心毒性試験などに対しても幅広く使用することができる。
本製品は、京都大学iPS細胞研究所によって研究開発されたヒト心筋細胞の作製技術を、タカラバイオがiHeart Japan 株式会社から導入し共同開発された製品である。本心筋細胞作製技術では、心筋特異的プロモーター(α-MHC等)を用いた薬剤(ピューロマイシン等)による純化を一切行うことなく高純度の心筋細胞を調製するため、長期間の培養に伴って通常生じる純度の低下が起きにくく、90日間の培養期間経過後においても純度の低下が認められないことが報告されている(論文投稿中)。
なお、本製品の製造に使用しているヒトiPS細胞株は、Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)を用いてフィーダーフリー下で培養されたChiPSC12(製品コード Y00285)を用いている。
本製品には細胞とヒトES/iPS細胞由来心筋細胞融解用培地(MiraCell CM Thawing Medium)、心筋細胞培養用培地(MiraCell CM Culture Medium)が含まれている。
内容
MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) Kit(製品コード Y50015)
MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12)(凍結品:1 vial >3×106 viable cells)
MiraCell CM Thawing Medium(20 ml)(※単品購入不可:製品コード Y50012)
MiraCell CM Culture Medium(100 ml)(※単品購入も可能:製品コード Y50013)
保存
MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) Kit(製品コード Y50015)
MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) :液体窒素保存
到着後、ただちに液体窒素タンクにて保存してください。
液体窒素保存ができない場合は、ただちに細胞を融解し、培養を行ってください。
MiraCell CM Thawing Medium、MiraCell CM Culture Medium :-20℃以下、融解後4℃
使用するまで-20℃以下で凍結保存し、使用前に4℃で一晩かけて培地の解凍を行ってください。 また、融解後は4℃で保存し、MiraCell CM Thawing Medium は1週間以内、MiraCell CM Culture Medium については1ヵ月以内を目安に使用してください(再凍結・融解は不可)。
キット以外に必要な試薬 ・Dulbecco’s PBS(製品コード C-40230)
・Dulbecco's PBS, w/o Ca++ / Mg++ (製品コード C-40232)
・1 mg/ml フィブロネクチン溶液
・0.25%トリプシン-EDTA溶液
動画(操作手順) 使用上の注意 MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) KitはiHeart Japan株式会社よりライセンスを受け、タカラバイオ(株)が製造、販売しています。
アプリケーションデータ
図1. MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) のロット間差(3ロット)の確認
心筋マーカーcTnT(Cardiac TroponinT)陽性率(解凍2日目)比較結果
解凍直後および解凍2日目の生細胞数比較結果
MEDプローブ上(アルファメッドサイエンティフィック社製)でのFPDcF(Field potential duration corrected by Fridericia's formula)の比較結果。※BPM35以上のプローブを使用
各ロットにおけるIKr阻害剤(E-4031)によるFPDc10(FPDcFが10%延長する際の薬剤濃度)比較結果
いずれの評価方法においても、ロット間差は少ないことが確認された。
図2. MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) を用いた薬剤応答性試験
解凍後の心筋細胞をMEDプローブ(アルファメッドサイエンティフィック社製)に播種後、4~9日目にBPM(Beats per Minute)が 35以上を示すプローブについて、細胞外電位測定装置(同社製)を用いて薬剤応答性を確認した。IKr阻害剤(E-4031)、IKs阻害剤(Chromanol 293B)、NaチャネルおよびIKr阻害剤(Mexiletine)についてはFPDcFの延長、Caチャネル阻害剤であるVerapamilについてはFPDcFの短縮が確認された。また、E-4031およびMexiletineに関しては、高濃度の場合において不整脈様の波形(EAD/TA;Early after depolarization/Triggered activity)が観察された。
図3. MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) の心筋関連タンパク質の発現解析
フィブロネクチンコートした培養用プレートへ継代した解凍後の心筋細胞を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、各タンパク質に特異的な抗体を用いて染色した。その結果、ほぼすべての細胞で心筋マーカータンパク質cTnTの発現が確認できており、純度の高い心筋細胞であることが確認された(左図)。また、MLC2AとMLC2Vの染色像から、MiraCell Cardiomyocytes (from ChiPSC12) は、ほとんどの細胞で心室筋細胞マーカーであるMLC2Vが発現していることが確認された(中図)。また、α-actininの染色により、特徴的なサルコメア構造が確認された(右図)。さらに、各種イオンチャネル遺伝子の発現(SCN5A、KCNQ1、CACNA1C、KCNH2など)についても確認できた(詳細データ非開示)。
ヒトiPS細胞由来細胞の使用に関して