製品説明
Dendra2は八放サンゴDendronephthya sp.由来の単量体型の蛍光タンパク質で、特定の波長の光を照射することで緑色から赤色へ不可逆的に蛍光波長を変換することができる(1)。いくつかのアミノ酸を置換し改変を加えたことにより、素早い発色団形成を行い、蛍光波長変換の前後で強い蛍光強度を示す。遺伝子配列のコドン使用頻度を哺乳類細胞内での発現に最適化してあるが、他の生物種でも同様に発現させることができる(2)。
Dendra2は、細胞内でのタンパク質の分解や移行、特定の細胞の変化を経時的に観察するための理想的なツールである(1、3、4)。また、一旦赤色に変換した後のDendra2蛍光は極めて安定である。20℃でも37℃でも効率良く発色団を形成するため、哺乳類細胞のほか、低温で生育する動物種でも使用できる。哺乳類細胞ではプラスミドの一過性のトランスフェクション後、10~12時間後にDendra2の緑色蛍光を観察することができ、凝集性や細胞への毒性は見られなかった。
Dendra2蛍光タンパク質による細胞の可視化
- 緑色蛍光での観察
変換前の緑色蛍光を示すDendra2は、490 nm、507 nmにそれぞれ励起、蛍光の極大を持っており、FITC用の光学機器により観察できる。
【注意】Dendra2は、観察する場合と同じ波長域の光により、緑色から赤色に変換される。蛍光波長を変換する場合には強い照射光が必要で、緑色蛍光を観察する場合は、弱い照射光で十分である。緑色蛍光を観察時に、赤色蛍光への変換を望まない場合には、照射量や波長条件を事前に検討する。
- Dendra2の緑色から赤色への変換
紫外光(360~420 nm)または青色光(460~500 nm)をDendra2に照射することで、緑色から赤色への蛍光の変換が行われる。488 nmアルゴンレーザーまたは405 nmダイオードレーザーの使用を推奨する(紫外光レーザーは効率良く蛍光を変換するが細胞傷害性を強く示す)。
- 変換された赤色蛍光での観察
光変換後の赤色を示すDendra2は553 nm、573 nmにそれぞれ励起、蛍光の極大を持っており、TRITC等の赤色系色素に用いる光学機器により観察できる。赤色に変換後の蛍光は極めて安定で長期間の観察に最適である。
融合タンパク質作製にも理想的
Dendra2は単量体で蛍光を示し、β-actin、α-tubulin、BID(BH3 interacting domain death agonist)、fibrillarin、vimentinなど様々なタンパク質と融合し発現させた例がある。N末、C末融合タイプの各哺乳類発現用ベクターと、大腸菌での発現用ベクターを用意している。
緑色から赤色蛍光への変換後に得られる明瞭なコントラスト
Dendra2の蛍光は、赤色に変換した後、150~300倍に強度が増強され元の緑色の蛍光は1/10~15程度に減少する。緑色から赤色蛍光への変換により、4000倍を超える蛍光シグナル比を示す明瞭なコントラストが得られる。変換前後の緑色と赤色の各蛍光を細胞内で同時にトレースする場合にこの特徴は非常に有用である(図1)。
図1. Dendra2融合タンパク質の緑色から赤色への変換
HeLa細胞に、Dendra2融合タンパク質発現プラスミドを一過性にトランスフェクションした。選択した細胞に488 nmのレーザー光を短時間照射して緑色から赤色への変換を行い、共焦点顕微鏡で緑色、赤色の各蛍光を観察した。
製品コード |
製品名 |
ホストセル |
プロモーター |
選択マーカー |
原核生物 |
真核生物 |
632545 |
pDendra2-N Vector |
哺乳類 |
CMV IE |
Kan |
Neo |
632546 |
pDendra2-C Vector |
哺乳類 |
CMV IE |
Kan |
Neo |
632544 |
pDendra2 Vector |
細菌 |
lac |
Amp |
- |
保存
-20℃