NucleoMag DNA Forensicは、磁性ビーズを用いて、手動または自動化装置により各種の法医学サンプルからゲノムDNAを精製するためのキットである。
このキットはISO18385に準拠しており、ヒトゲノムDNAの混入のリスクが極限まで抑えられている。本製品は、カオトロピック塩条件下で核酸を磁性ビーズに結合させ、エタノールを含むWash Bufferで洗浄して夾雑物を除去し、Elution Bufferを用いてDNAを溶出する。
新たに開発された溶解バッファーの使用により、血痕、組織付着サンプル、スワブサンプルなど様々な法医学サンプルからDNAを高収率で回収することが可能である。また、このキットは微量の試料からも効率よくDNAを回収できるため、DNA含量が多いサンプルから非常に少ないサンプルまで、幅広い対象サンプルから安定的にDNAを抽出できる。本製品で精製したDNAはShort Tandem Repeat(STR)解析を阻害する成分が完全に除去されており、多くの法医学サンプルから信頼性の高いSTRプロファイルを得ることができる。さらに、スピンカラムタイプのNucleoSpin DNA Forensicキットと同一のバッファー系を使用しているため、各ケースに対応してキットを取り換えても同等のDNAを回収することができる。
本製品は、手動で使用する磁性ビーズセパレーター(NucleoMag SEPなど)や自動ワークステーションに組込まれた磁性ビーズセパレーターのどちらにも使用可能である。
NucleoSpin Forensic Filtersは、サンプル溶解後、付着していた担体(口腔粘膜サンプルの綿棒等)と溶解液を、効率よく分離するために使用できる。
原理 | 磁性ビーズ法 |
形状 | 高反応性超常磁性ビーズ |
サンプル | ケースワークサンプル
(血液痕、タバコ吸殻、スワブサンプルなど)
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DNA回収量 | 1~3 μg(口腔粘膜から抽出した場合) |
回収濃度 | <1 ng/μl |
溶出液量 | 25~50 μl |
結合容量 | 0.4 μg/μl ビーズ |
図1. さまざまな法医学サンプルからのDNA精製
NucleoMag DNA Forensic と NucleoSpin DNA Forensicを用いてさまざまなサンプルからゲノムDNAを精製した。すべてのサンプルからqPCRで解析可能な量のDNAが回収できた。また、NucleoSpinとNucleoMagの両キットでほぼ同等の回収量が得られており、両キットで相互の移行が容易であることが示された。
図2. ゲノムDNAの回収率
綿棒などの拭き取り物に10 μlから0.01 μlの液量の血液を塗布した後、NucleoMag DNA Forensicを用いてDNA抽出した。精製DNAはqPCR法によりその回収量を測定した。回収DNA総量(青棒)と1 μlあたりの回収量(オレンジ線)を図に示した。使用した血液量に応じたDNA回収量が得られており、ロスのないDNA精製ができることが分かった。