製品説明
アクロレイン(CH
2=CHCHO;Acrolein)は石油、石炭、木材およびプラスチックの燃焼により生成するばかりでなく、タバコ煙や排気ガス、油脂の加熱等で生成する化学物質で、細胞毒性が強い物質として知られている。近年、脂質の過酸化によってもアクロレインが生成することが明らかにされ、生体内での脂質過酸化二次生成物としての存在が確認されるとともに生体に対するアクロレインの影響が注目されるようになってきた。また、動脈硬化や脳梗塞との関係も報告されており、これらの疾患マーカーの1つとしても期待されている。
本製品は、アクロレインがタンパク質のリジン残基に付加して生じたホルミルデヒドロピペリジノ(FDP)‐リジン(Lys)構造に対して特異的に反応するモノクローナル抗体を用い、血中・尿中・組織中に含まれるアクロレインとタンパク質との付加体を簡便かつ迅速に測定するための競合ELISAキットである。サンプル中のアクロレイン付加体の存在量を、FDP-Lys量として定量測定する。プレートにあらかじめアクロレイン付加体(Acrolein-Lysine Adduct)を固定化しており、約2時間で測定することができる。
内容
(96回分)
1. | Acrorein-Lysine Adduct固定化プレート | 1枚(96 well:8 well×12 strips) |
2. | サンプル希釈用緩衝液 | 50 ml |
3. | 標準品 N-acetyl-FDP-lysine(7濃度) | 350 μl×7 |
4. | Acrolein付加体を認識する一次抗体(凍結乾燥品) | 10 ml用 |
5. | 一次抗体溶解液 | 11 ml |
6. | 洗浄液(20倍濃度、Tween 20含有緩衝液) | 50 ml |
7. | POD標識抗マウスIgG二次抗体(100倍濃縮溶液) | 120 μl |
8. | 標識二次抗体希釈液 | 12 ml |
9. | 基質液(TMBZ:3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン) | 12 ml |
10. | 反応停止液(硫酸不含) | 12 ml |
11. | プレートシール | 2枚 |
保存
4℃
原理
1 抗体競合ELISAシステム
固相化した抗原(Acrolein-Lysine Adduct)とサンプル(未知の測定物質)を共存させた中に検出用一次抗体を投入し、固相化プレート上に結合して残留する一次抗体を酵素標識二次抗体で検出することで、共存させたサンプル中の抗原量を測定する。
サンプル中に抗原(Acrolein付加体)が大量に存在すると、サンプルの抗原に結合するために一次抗体が多く消費され、結果的に固相化プレートに結合できる一次抗体が少なくなり、得られる吸光度が減少する。
性能
測定領域:3.13~200 nmol/ml
信頼範囲:3.13~100 nmol/ml
検出感度:3.13 nmol/ml
特異性:FDP-Lys構造に特異的
測定時間:測定操作 2時間
検体:尿・血清*・血漿*・腹水*・細胞培養上清・抽出液・中間工程品等(動物種は問わない)
*マウスの血清、血漿、腹水サンプルを測定する際は、二次抗体にPOD-labeled Anti Mouse IgG Conjugateを用いていることから、非特異的なバックグラウンドが生じる場合があるので注意を要する。
実験操作動画