リアルタイム定量PCRをはじめ、ノーザンブロット法、リボヌクレアーゼプロテクション法などmRNAの発現量を測定する場合は、通常、内部標準または内因性標準遺伝子のデータと比較して標準化を行う。β-アクチンやグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)などのハウスキーピング遺伝子は、種々の処理条件でその発現量が一定であると考えられているため、最もよく使用されている。しかし、残念ながらこのような仮定は常に正しいわけではなく、ハウスキーピング遺伝子のみに基づく結果は正確ではない可能性がある。
qPCR Human Reference cDNAは、定量PCR(qPCR)による異なる実験から得られたデータを比較するための理想的なコントロールである。本製品は数種類の組織から得られたtotal RNAをまとめて調製しており、広範な遺伝子を網羅している。実際、組織全体から調製したRNAとそのcDNAは、細胞株からの調製品より多様な遺伝子を反映している。さらにPCR解析により、ClontechのTotal RNAには実質的にゲノムDNAが存在しないことを確認している(1)。このため、転写物のコピー数をより正確に測定することが可能である。また、存在量の多い遺伝子と少ない遺伝子の両方がよく保存されているため、qPCRによる各測定にあたって広範囲に段階希釈した標準品を調製することができる(2)。Reference cDNAでは原料となるRNAが工業スケールで調製されているため、ロット間の変動が極めて低く抑えられている。
qPCR Human Reference Total RNAもまた、さまざまなqPCR実験から得られたデータの比較に有用である(3)。