真核細胞でプロテアソーム活性を研究する際には、Proteasome Sensor Vectorをご利用ください。このレポーターベクターは、プロテアソーム感受性蛍光タンパク質ZsProSensor-1を発現するように設計されている(図1)。これはマウスのオルニチンデカルボキシラーゼ分解ドメイン(MODCの410~461アミノ酸、MODC d410)をZsGreenのC末端に融合したタンパク質である。MODC分解ドメインの付加により、ZsProSensor-1はプロテアソームで速やかに分解される。
図1. プロテアソームセンサーベクター(pZsProSensor-1)
プロテアソームが細胞内で正常に機能すると、ZsProSensor-1の蓄積は起こらず緑色蛍光は増大しない。実際に、ZsProSensor-1はリボソームで翻訳された直後にプロテアソームの標的となるため、ほとんどの蛍光団は変化して折り畳まれる前に分解される。しかし、プロテアソームが阻害されるとZsProSensor-1は直ちに蓄積する。緑色蛍光の増大はプロテアソーム活性の低下を示すものであり、FITCフィルターセットを用いて蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリーまたは96穴プレートリーダーで測定することができる(図2)。
図2. 生細胞中のプロテアソーム活性
Proteasome Sensor Vectorをトランスフェクトした安定HEK 293細胞をG418で選択し、FACSで選別した後、10 μMのALLNで6時間処理した。ALLNはプロテアソームのキモトリプシン活性を可逆的に阻害するペプチドアルデヒド(Ac-Leu-Leu-Nle-al)であり、プロテアソームによるZsProSensor-1タンパク質の分解を抑制する。上記のALLN処理の結果、速やかにZsProSensor-1タンパク質が蓄積し、蛍光顕微鏡法(パネルA)、フローサイトメトリー(パネルB)または96穴プレートリーダーを用いた蛍光測定法(パネルC)で測定可能な強い緑色蛍光シグナルが認められた。