MSCV(Murine Stem Cell Virus)Retroviral Expression Systemには、マウスやヒトの造血細胞、胎児幹細胞(ES)、胎児性癌細胞(EC)などの多能性細胞株に対して目的遺伝子を導入するために最適化したベクターが含まれている。また本ベクターはその他あらゆる哺乳類細胞でも使用できる(1~3)。本システムは非常に効率が高く、培養細胞やトランスジェニック動物での発生、胚形成、免疫系の応答などの遺伝子機能の解析に理想的である。
感染困難な細胞用に設計
MSCV Systemには3種類のベクター(pMSCVneo、pMSCVhyg、pMSCVpuro)が含まれている。これらのベクターは、マウス幹細胞PCMVウイルスに由来する特別に設計された末端反復配列(LTR)を含んでおり、感染が難しい細胞株での研究も可能になる。このLTRは、他のレトロウイルスベクター中で使用されるMMLV LTRとは、いくつかの点変異と1ヵ所の欠失が導入されている点で異なる。これらの変異は転写活性化を増強し、ES細胞やEC細胞における転写抑制を防いでおり、その結果、幹細胞や他の哺乳類細胞株における目的遺伝子の高レベルな構成的発現が実現される。なお、MSCV SystemにはRetroPack PT67 Packaging Cell Lineが添付されている。これは広範な哺乳類宿主細胞に感染可能な高力価ウイルスを産生する細胞である。
図1. pMSCV ベクターマップ 内容
・pMSCVneo Vector
・pMSCVhyg Vector
・pMSCVpuro Vector
・RetroPack PT67 Cell Line
・MSCV Primers
保存
RetroPack PT67 Cell Line:液体窒素*
その他のコンポーネント:-20℃
* 到着後、ただちに液体窒素中で保存してください。
液体窒素保存ができない場合は、ただちに細胞を融解し、培養を行ってください。