EpiXplore Methylated DNA Enrichment KitはMethyl-CpG binding domain protein2(MBD2)と磁気ビーズを利用し、低密度(hypo)および高密度(hyper)にメチル化されたDNAを、全ゲノム中から簡便に濃縮・分画するためのキットである(図1)。メチル化DNAサンプルの濃縮によって、シーケンス解析ほか様々な解析でよりクリアな解析結果が得られる(1)。
EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kitのメリット
EpiXploreプロトコールは、メチル化DNAとMBDタンパク質間の特異性の高い結合を利用している。
- 抗体や免疫沈降(IP)操作は不要
- 柔軟な操作手順により異なるメチル化密度を持つDNAを分画可能
従来の免疫沈降による方法(MeDIP:メチル化DNA免疫沈降法、MeCIP:メチル化CpG沈降法)はサンプルのロスを伴う前処理を必要とし、メチル化密度による分画を行うこともできない。
メチル化密度による分画の必要性
最新の知見では、ゲノムDNA中の低または中密度のメチル化DNA領域(CpGアイランドやプロモーターから離れて存在する)が遺伝子の発現調節に関与する可能性が示唆されている(2~4)。メチル化による影響を包括的に理解するためには、まず、メチル化の密度の差異を調べることが最初の重要なステップとなる。メチル化の密度により、3つの画分に分けてDNAを濃縮し溶出を行えるのは、EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kitだけである。
免疫沈降法との比較
メチル化DNA濃縮方法は… |
EpiXploreプロトコール |
免疫沈降*による従来法 |
ハイスループットに進めますか? |
YES 濃縮後、直ちにアッセイに使用可能 |
NO 濃縮後、さらにステップが必要 |
元の状態を保っていますか? |
YES 磁気ビーズはマイルドな条件下で濃縮 |
NO サンプルロス大 |
溶出は容易ですか? |
YES バッファー交換のみ |
NO 煩雑な多段階の溶出ステップ |
メチル化の密度により選別可能? |
YES メチル化の密度により分画も可能 |
NO 溶出は1画分のみ |
* メチル化DNA免疫沈降法(MeDIP法)、メチル化CpG免疫沈降法(MeCIP法)
図1. EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kitの操作手順 EpiXplore Methylated DNA Enrichment Kit
(製品コード 631963、10回用)
Box 1:
・6 ml 4× Binding/Wash Buffer
・1 ml TALON Magnetic Beads
・5 ml Elution Buffer (Low)
・5 ml Elution Buffer (Middle)
・5 ml Elution Buffer (High)
・300 μl Dr. GenTLE Precipitation Carrier
Box 2:
・100 μl MBD2 Protein
・20 μl Labeled Non-Methylated DNA Duplex (1 μM) (Control)
・20 μl Labeled Methylated DNA Duplex (1 μM) (Control)
Magnetic Stand
(製品コード 631964)
・Magnetic Stand(1.5 mlマイクロチューブ2本セット可)