製品説明
本製品は、レンチウイルスベクターを感染させた細胞のゲノムDNA中に組み込まれたレンチウイルス(Provirus:プロウイルス)のコピー数を迅速に測定するためのキットであり、クローン化された、またはヘテロな細胞集団*1でのアッセイが可能である(図1)。キットにはプロウイルスコピー数測定用のプライマーのほか、ゲノムDNA精製キット、検量線作成用コントロールDNA、およびTB Green検出リアルタイムPCR用試薬(200回用)が含まれている。
*1:エピソーム状態でとどまっているものの影響を除外するため、ウイルス感染後、少なくとも72時間の培養が必要である。
レンチウイルスベクターの有効タイターを正確に決定
プロウイルスコピー数を正確に求めることで、ウイルスストックの実際の有効なタイターを知ることができる。そのコピー数をもとに、正確なMOI(感染多重度)でのターゲット細胞への感染を可能にし、ゲノムにどれくらいのウイルスが組み込まれるかをあらかじめ予想することができる。他のアッセイ方法でウイルスストックのタイターを測定し、実際には個別の細胞ゲノムへの導入効率を測定していない場合の、有効タイターの予測にも使用できる。
安定した導入遺伝子の発現
レンチウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行う場合、導入した遺伝子の発現レベルは、MOIの増加、つまりはゲノム中に組み込まれるレンチウイルスのコピー数の増加に相関して高くなる(図2)。調製したウイルスストックの細胞種ごとの有効なMOIは、各細胞のウイルス感染の受けやすさにより異なっている(図3)。Lenti-X Provirus Quantitation Kitは、ターゲット細胞の種類や導入遺伝子の発現レベルに関わらず、遺伝子導入の結果の評価に使用できる。様々な細胞種や様々な方法で調製されたウイルスストックを用いる場合に、再現性のあるウイルス感染実験を可能にする。
図1. ターゲット細胞中のプロウイルス量をリアルタイムPCRで迅速に測定可能
図2. プロウイルスのコピー数は形質導入遺伝子の発現に影響
HT1080細胞に、高または低MOIでAcGFP1をコードするレンチウイルスを感染させ、72時間後にピューロマイシンによる選択を行った。1週間後、安定形質導入クローンについて次の解析を行った。AcGFP1発現レベルはフローサイトメーターを用いて解析し、ゲノムDNA中のプロウイルスコピー数はLenti-X Provirus Quantitation Kitで解析を行った。結果、低コピー(>3、n=8)または高コピー(>9、n=7)のプロウイルスを持つ2つの細胞集団が得られた。高いコピー数のプロウイルスを持つ細胞は、高レベルのAcGFP1発現を伴なっていた。
図3. 同量のウイルスを感染した時の細胞種によるプロウイルスコピー数の違い
等量(100 μl)のレンチウイルス上清を用いてHT1080、HeLa、HEK 293の各細胞に感染を行った。感染の72時間後に、ピューロマイシンによる選択を行った。1週間後、安定形質導入クローンのゲノム中のプロウイルスコピー数をLenti-X Provirus Quantitation Kitを用いて解析した。各細胞種には異なるコピー数のプロウイルスが組み込まれていた。
内容
Lenti-X Provirus Quantitation Kit
(製品コード 631239)(200回用)
・Lenti-X Provirus Quantitation Components(別売はしていない)
・Lenti-X Provirus Control Template(5×105 copies/μl) 30 μl
・Lenti-X Provirus Forward Primer(10 μM) 100 μl
・Lenti-X Provirus Reverse Primer(10 μM) 100 μl
・EASY Dilution Buffer(1 ml/tube) 4 tubes
・NucleoSpin Tissue Kit(10回)
・TB Green Advantage qPCR Premix(製品コード 639676:200回)
保存
・NucleoSpin Tissue Kit:室温
・TB Green Advantage qPCR Premix:-70℃(融解後は4℃)遮光保存
・その他の試薬:-20℃