製品説明
mCherryは蛍光を発するまでの時間が非常に短い赤色単量体蛍光タンパク質であり、転写後すぐに検出が可能である。さらに、蛍光が安定でレーザー光照射下でも退色しにくい。また、ヒトアクチン、チューブリン他いくつかの遺伝子との融合発現が確かめられており(図1)、mCherryやその融合タンパク質は
Arabidopsis(1)、ゼブラフィッシュ(2)、
E. coli(3)、HIVビリオン(4)、および酵母(5)での使用例が報告されている。蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)のような定量性の要求される実験にも使用例(6)がある。また、フローサイトメーターにより異なるレベルでmCherryを安定発現するHEK 293細胞株は元のHEK 293細胞と同様の増殖能を示し、細胞死などの影響は確認されなかった。
目的タンパク質のN末あるいはC末にmCherryを融合して発現するためのベクター(mCherry-C1など)、細菌で使用するほか、遺伝子供給源としても利用できるベクター(pmCherry)、プロモーター活性を研究するためのプロモーターレスベクター(pmCherry-1)、miRNAと蛍光タンパク質を1つの転写物として発現するベクター(pmR-mCherry)、ウイルス発現系のベクター(pretroQ-mCherry-C1など)などさまざまなベクターを用意している。
mCherryの検出には、
mCherry Monoclonal Antibody(製品コード 632543)、DsRed Monoclonal Antibody(製品コード 632392)、DsRed polyclonal Antibody(製品コード 632496)が利用可能である。
蛍光タンパク質の特性
*a : Unless otherwise specified (see footnotes f and g), the Relative Quantum Yield of each fluorescent protein (QFP) was determined using the following equation : QFP = (Qfluo* FFP* ODfluo) / (Ffluo* ODFP), where F is the fluorescence and OD is the optical density of either the fluorescent protein (FP) or the reference fluorophore (fluo).
*b : Unless otherwise specified (see footnotes f and g), the Molar Extinction Coefficient (ε) for each protein was determined as follows: A = εcl (Beer-Lambert law) or ε = A/c, where A = absorbance, c = concentration (determined by the Bradford Protein Assay), l = path length (1 cm). Each molar extinction coefficient was determined at the absorption maxima of its respective protein.
*c : Brightness = (Quantum Yield) (Extinction Coefficient)
*d : C.T.= Chroma Technologies
*e : Shaner, N. C. et al. (2004) Nature Biotechnol. 22(12):1567-1572.
図1. mCherry融合タンパク質
mCherryをヒトアクチン(パネルA)またはチューブリン(パネルB)と融合し、哺乳類発現ベクターにクローニング後、HeLa細胞にリポソーム法を用いて導入した。細胞は形質転換36時間後に4%のパラホルムアルデヒドで固定し、Zeiss Axioskop顕微鏡、575/50、610、640/50 フィルターセットを用いて観察を行った。
図2. mCherry蛍光タンパク質融合ベクターのベクターマップ
左:N末端融合蛍光タンパク質ベクター、右:C末端融合蛍光タンパク質ベクター
関連製品
miRNA発現ベクター(蛍光タンパク質レポータータイプ)
pmR-mCherryおよびpmR-ZsGreen1各ベクターは3’-UTR領域にmiRNA配列のクローニングサイト(MCS)を持ち、強力なCMVプロモーターからmiRNAと蛍光タンパク質を一つの転写物として発現する。マーカーである蛍光タンパク質にはmCherryまたは蛍光強度の強いZsGreen1を採用しており、細胞へのトランスフェクション効率を容易に確認できる。また、形質転換された細胞集団中のmiRNAの発現状況を蛍光強度によってモニターしたり選抜を行うこともできる。
pmR-mCherryとpmR-ZsGreen1 Vector
パネルA:ベクターマップ
パネルB:miRNAとmCherry(赤)もしくはZsGreen1(緑)を発現するベクターを用いて細胞をトランスフェクトした。
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