Shasta WGA Kitは、illuminaプラットフォーム用の高品質なscDNA-Seqライブラリーを作製します。タカラバイオのPicoPLEX全ゲノム増幅(WGA)技術を用いることで、再現性の高いコピー数変異(CNV)解析、単一塩基変異(SNV)解析、インデル解析を行うことができます。 Shasta WGA Kit は、Shastaシングルセル自動調製システムを用いたハイスループットな自動化ワークフローに最適化されており、これまでのプレートベースのシングルセルWGAを大幅に上回る、1,000~1,500細胞からのscDNA-Seqライブラリー作製を可能にします。
図1. Shasta WGA Kitワークフロー
- ① ナノチップ上での細胞イメージングとシングルセルの選択
- ② オンチップでのDNA抽出
- ③ Quasi-random primerを含むpre-amplification mixの添加
- ④ forwardおよびreverseのindex primerを使用してDNAが増幅され、最終的なDNA-Seqライブラリーを構築
図2. 4つの異なる細胞株のシングルセルから作製したShasta WGAライブラリーのQC指標
ライブラリーのシーケンシングは、NextSeq 500/550 High Output Kitと150サイクルカートリッジ(リード長2 x 75 bp)を使用し、PhiXスパイクイン率は18.81%で実施した。96.56%のリードがバーコード化に成功し、バーコード化された単一細胞について、アダプタートリミング後、バーコード化されたリードの99.12%がユニークリードであり、バーコード化されたリードの94.06%がhg38参照ゲノムにユニークにマッピングされた。
図3. Shasta WGAキットを用いてシングルセルから作成したCNP解析例
- Cell 1(GM05067細胞): 9p染色体における約45 Mbの特徴的なセグメント増幅が特異的に検出された。
- Cell 2(GM22601細胞): 4p染色体での約25 Mbの欠失を検出した。
- Cell 3(GM12878細胞): CNVのない2倍体を示し、15 pgのNA12878 gDNAを用いて作製したWGAライブラリーと同等の性能を示した。
- Cell 4(K562細胞): 3倍体の予測された倍数性を示した。ハイパープロイディーは、急速に増殖するがん細胞において一般的な現象である。
図4. 単一の淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)からShasta WGAキットを用いて作成したCNPから、ccRCCに一般的に関連するCNVを同定
Cell 1とCell 2はともに3番染色体のp-armの欠損(-3p)、5番染色体のq-armの獲得(+5q)、16番染色体のp-armの部分的獲得(+16pter)を有する。-3pはccRCCの細胞遺伝学的特徴であり、2013年の研究では417人の患者の91%が-3pの変異を有していた(
Nature 499, 43-49 (2013))。この領域は、ccRCCで最もよく変異する4遺伝子を包含している(VHL、PBRM1、BAP1、SETD2)。また、+5qはccRCCでよくみられるCNVであり、2013年の研究では417人の患者の67%が+5qの変異を有していた。加えて、Cell 1では8番染色体のp-armが欠損(-8p)し、Cell 2では8番染色体全体が欠損していた。8番染色体の一部または全部の欠損は、以前に行われたccRCC患者の研究でも報告されており、典型的にはTCEB1異と関連している(Sato
et al. Nature Genetics, (2013)
45: 860-867)