製品説明
本製品は、細胞から放出された乳酸脱水素酵素(LDH)を高感度に測定することにより細胞傷害を測定するキットである。
LDHは細胞質に存在する酵素で、通常は細胞膜を透過しないが、細胞膜が障害を受けると細胞外、すなわち培地中に放出される。本キットを用いることで、この放出されたLDHを次の原理で測定することができる。LDHは乳酸の脱水素化を触媒し、ピルビン酸とNADHを生成する。このNADHはDiaphoraseの触媒によりテトラゾリウム塩(ITN)を還元し、490 nmの吸収をもつ赤色のホルマザン色素を形成する。したがって、LDH活性を490 nmの吸光度量の増大で測定することができる
内容
(2000回分)
1. Catalyst(Diaphorase/NAD+混合液の凍結乾燥品) |
5本 |
2. Dye Solution [ヨードテトラゾリウム塩化物(INT)と乳酸ナトリウムを含む] |
45 ml×5 |
保存
-20℃
一度溶解したCatalyst溶液は、4℃保存で数週間安定。
一度融解したDye Solutionは、4℃保存で数週間安定。
原理
反応の第1段階で、乳酸がLDHの触媒によりピルビン酸に変化し、その結果、NAD
+がNADH/H
+になる。第2段階で、触媒(Diaphorase)により、NADH/H
+からH/H
+が黄色テトラゾリウム塩INT(2-[4-indophenyl]-3-[4-nitrophenyl]-5-phenyltetrazolium chloride)に移動して、赤色ホルマザンとなる。(図1)
図1 測定原理
死細胞または細胞膜に傷害をうけた細胞の数の増加は、培養上清中のLDH酵素活性の増加として現われる。また、培養上清中のLDH酵素活性の増加は、一定の時間内に作られたホルマザンの量と直線的に相関する。すなわち、反応で作られたホルマザン色素の量は傷害をうけた細胞数と比例することになる。生成されたホルマザン色素は、水溶性で、約500 nmで最大吸収を示すが、テトラゾリウム塩INTはこの波長での吸収を示さない。(図2)
図2 LDH Cytotoxicity Detection Kitの反応液の吸収曲線 特長
- 放射性同位元素を使用しない
- 傷害を受けた細胞の数と強く相関する
- 0.2~2×104細胞/wellという少量の細胞数からでも検出が可能である。
- マイクロプレートリーダーを用いることにより、多数のサンプルを一度に処理できる。
- 測定時間は0.5~1時間と迅速である。
- プレラベリングや洗浄の必要がない。
用途
本製品は、細胞膜に傷害が起こったときの
in vitroにおける多くの異なる細胞システムに利用できる。
例えば-
- CTL、NK細胞、LAK細胞や単球により引き起こされる、細胞性細胞傷害検出と定量12、13)
- 細胞傷害を引き起こす伝達物の決定12)
- 抗体依存性細胞傷害性(ADCC)や補体が介在する細胞溶解の測定
- 環境中や医学研究中、食物・化粧品・薬剤製造中の化合物に潜在する細胞傷害物質の決定14-21)
- bioreactors中の細胞死の決定22~24)
本製品は、培地中に放出される細胞質中のLDH酵素活性を測定することにより、bioreactorsにおける発酵中の細胞死を正確に評価でき、effector-target細胞システムに使われている[51Cr]放出測定法ともよく相関する。